【作業療法士が実際に読んだ】肩関節リハビリのおすすめ本4選|五十肩・拘縮・痛みを目的別に比較
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肩関節のリハビリを担当していると、痛みが強い時期にどこまで動かしてよいのか、可動域制限の原因をどう評価するのかなど、判断に迷う場面があります。
私自身、病院の外来リハビリで肩関節のリハビリを担当しており、評価や運動療法を学ぶために専門書を読んできました。この記事では、作業療法士の私が実際に読んで勉強した肩関節リハビリの本4冊を紹介します。
4冊は、五十肩の病期別対応、拘縮の原因組織の評価、肩関節痛・頸部痛、機能障害別の臨床推論と、それぞれ学べる内容が異なります。「肩の本はどれから読めばいい?」「自分の臨床にはどの本が合う?」と迷っている方に向けて、いまの臨床で何を学びたいかを基準に選び方を整理しました。
この記事を書いた人:Home Reha 福岡|作業療法士。病院の外来リハビリで肩関節のリハビリを担当。
目次
肩関節リハビリの本は学びたい目的で選ぶ|4冊の比較
4冊はいずれも肩関節の評価と運動療法を扱う専門書ですが、内容の整理のしかたが異なります。どれが優れているかではなく、いま何を学びたいかで選ぶのがおすすめです。
| 学びたいこと | おすすめの本 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 五十肩の病期に応じた評価・対応 | 五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる! | 疼痛期・拘縮期・緩解期に分けて、治療の考え方と運動療法が章立てされている |
| 可動域制限の原因組織ごとの評価・運動療法 | 肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版 | 筋、肩関節上方支持組織、関節包靭帯など、拘縮の原因となる組織ごとに章が分かれている |
| 肩と頸部の両面から痛みを考える | 肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション | 肩関節痛と頸部痛を1冊で扱い、それぞれにケーススタディが収載されている |
| 機能障害別の評価・解釈・介入、臨床推論 | 肩関節理学療法マネジメント | 疾患名ではなく機能障害別に、評価から理学療法までの考え方が整理されている |
可動域制限を組織ごとに整理して学びたい場合は、『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』が最初の候補になります。ただし、担当患者さんに五十肩の方が多いなら五十肩の本から、肩と首の症状の関係で迷うことが多いなら肩関節痛・頸部痛の本から読み始めてよいと考えています。自分の臨床でいちばん迷っている場面に近い1冊を選ぶのが、無理のない始め方です。
- 肩関節の可動域制限に対して、何から評価すればよいか迷うことがある
- 痛みが強い時期の運動の内容や量に悩むことがある
- 肩の痛みに頸部が関わっていないか、検討する視点を持ちたい
- 評価結果から治療方針を考える流れを整理したい
- 肩関節の専門書を買いたいが、どれから読むか決めかねている
肩関節リハビリのおすすめ本4冊の特徴
ここからは、各書籍の内容と選ぶ目安、注意点を紹介します。書誌情報や目次は、参考情報欄に記載した出版社・書誌データベースのページで確認したものです。「作業療法士の視点」は、書籍の構成をもとに、作業療法の評価や動作分析にどう結びつけて学べるかを提案しています。
五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる!
五十肩に絞って、病態と病期に応じた理学療法の考え方を解説した本です。目次は、肩関節の基礎知識、五十肩に影響を与える筋の機能とその評価、五十肩の病態に続いて、疼痛期・拘縮期・緩解期の3つの時期ごとに治療の考え方と運動療法がまとめられています。
- 五十肩の病態と、病期ごとの治療の考え方
- 五十肩に影響を与える筋の機能と、その評価
- 疼痛期・拘縮期・緩解期それぞれの運動療法
五十肩では、病期に加えて、痛みの強さや運動後の反応を確認しながら、運動の内容や負荷量を調整する視点が大切です。病期ごとの整理は、その判断材料を増やすために役立てられます。たとえば、更衣で袖に腕を通す動作や、洗体・整髪で腕を上げる動作のどこで痛みが出るかを観察し、本で学んだ病期の考え方と照らし合わせると、生活動作の指導内容を検討しやすくなります。
- テーマが五十肩に絞られているため、腱板断裂の術後や骨折後のリハビリを中心に学びたい場合は、ほかの書籍とあわせて検討が必要です
- 病期の分類だけで介入を機械的に決めるのではなく、目の前の患者さんの症状や反応とあわせて読む必要があります
- 担当患者さんに五十肩の方が多い
- 痛みが強い時期と、動きが硬くなった時期の対応の違いを学びたい
- まずは五十肩という病態に絞って学びたい
肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版
約10年前に刊行された『肩関節拘縮の評価と運動療法』の改訂版です。運動と医学の出版社の商品ページでは、改訂にあたってイラストと写真を刷新し、著者による実技映像を59本追加したと説明されています。映像は、本文中のアプローチ箇所にあるQRコードから視聴する形式と案内されています。
目次は、肩関節の基礎知識、肩関節拘縮の基本評価、拘縮に対する基本的な考え方、筋攣縮と筋短縮との相違に続き、筋、肩関節上方支持組織の癒着、関節包靭帯がそれぞれ原因となる拘縮、肩甲帯機能不全と可動域との関連という章立てです。
可動域の数値だけでは、どの組織が動きを制限しているのかまでは分かりません。この本の章立ては、原因組織を考えるための評価を順序立てて学ぶのに向いています。結髪では挙上と外旋、結帯では伸展・内旋と、生活動作ごとに必要な運動方向は異なります。動作のどの局面でつまずいているかを観察し、学んだ評価と結びつけて考えると、動作分析の視点が広がります。
- 筋攣縮と筋短縮の違いと、それぞれの評価・運動療法
- 拘縮の原因となる組織ごとの評価の考え方
- 肩甲帯の機能と肩関節の可動域との関連
- 機能解剖の解説が多いため、解剖学の資料と照らし合わせながら読むと内容を追いやすくなります
- 実技映像があっても、手技は可能であれば研修会などで実技指導を受けてから実施することをおすすめします
- 症例を通して学びたい場合は、続編の『臨床編』もあわせて検討するとよいでしょう
- 可動域制限を、原因となる組織ごとに整理して学びたい
- 手技の動きを映像でも確認したい
- 肩関節の機能解剖を、臨床の評価とつなげて学び直したい
肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション(痛みの理学療法シリーズ)
肩関節と頸部の2部構成で、痛みに対する評価と理学療法を扱った本です。肩関節の部では、肩関節痛を分類するための評価、肩甲上腕関節機能や肩甲骨運動の評価、筋機能低下・拘縮・肩甲骨運動異常による肩関節痛への理学療法が取り上げられています。頸部の部では、評価と分類に続き、可動域制限、放散痛、協調性障害、強い痛み、頭痛を伴う頸部痛への理学療法が整理されています。肩・頸部それぞれにケーススタディの章があります。
肩の痛みを訴える方でも、頸部の状態があわせて関わっている可能性はあります。この本は、肩関節痛と頸部痛を同じ本の中で見比べながら、頸部由来の症状も検討する視点を学ぶのに適した構成です。高い棚への手伸ばしや洗濯物干しなど、腕を上げ続ける家事動作で症状が出る場面を観察するときに、肩と頸部の両方から考える手がかりになります。
- 肩関節痛を分類してから介入方針を考える流れ
- 頸部痛の評価・分類と、症状のタイプ別の理学療法
- 肩・頸部それぞれのケーススタディ
- 肩関節痛と頸部痛の両方を扱うため、肩関節だけを集中的に学びたい場合は、肩に特化した書籍とも比較するとよいでしょう
- 頸部への介入はリスク管理が前提になります。医師の診断や指示を踏まえて実施してください
- 肩と首の症状の関係で迷うことが多い
- 痛みを分類してから介入を考える流れを学びたい
- ケーススタディを通して考え方を確認したい
肩関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く
関節の機能障害に対する評価・解釈・アプローチを解説する「理学療法マネジメント」シリーズの肩関節編です。肩甲上腕関節の動的安定性低下、可動域制限、不安定性、肩甲骨アライメントや運動の異常、投球動作の不良という機能障害別に、評価と理学療法が整理されています。腱板断裂や凍結肩などの代表的な肩関節疾患の病態は医師が執筆した章で解説され、機能障害別のケーススタディも収載されています。
- 機能障害ごとの評価の流れと、その結果の解釈
- 代表的な肩関節疾患の病態(医師による解説)
- 機能障害別のケーススタディ
同じ診断名でも、生活動作を妨げている機能障害は人によって異なります。機能障害別の構成は、評価結果をどう解釈して介入につなげるかという臨床推論を学ぶのに向いています。たとえば、更衣や整髪で腕を上げる途中に動きが崩れる場合に、可動域の問題なのか、肩甲骨の運動の問題なのかを分けて考える練習に使えます。カンファレンスで生活上の課題と機能障害の関係を説明する際の整理にも役立てられます。
- 投球動作やスポーツ関連の肩疾患を扱う章も含まれるため、担当する患者さんの層によっては使う場面が少ない章もあります
- 刊行後に発表された研究知見や現行の推奨は、論文やガイドラインで別途確認するとよいでしょう
- 評価結果から治療方針を組み立てる考え方を整理したい
- 凍結肩以外に、腱板断裂や不安定症なども担当する
- 医師による疾患解説と理学療法の解説を1冊で確認したい
作業療法士は肩関節の本をどう臨床に生かす?
今回の4冊は、いずれも理学療法の書籍です。作業療法士が読む場合は、評価や運動療法の知識を生活動作の観察と結びつけて学ぶと、作業療法の視点を生かしやすくなります。以下は、書籍の内容を作業療法に結びつける学び方の一例です。
| 本で学ぶこと | 作業療法での結びつけ方の例 |
|---|---|
| 病期に応じた考え方 | 痛みの強さや運動後の反応とあわせて、家事や更衣でどの程度腕を使うかを本人と相談する |
| 原因組織・運動方向の評価 | 結髪・結帯・洗体・手伸ばしなど、つまずいている動作に必要な運動方向と照らし合わせる |
| 痛みの分類 | 痛みが出る動作や姿勢を確認し、動作方法や道具・環境の調整を検討する |
| 機能障害別の臨床推論 | 生活上の課題と機能障害の関係を整理し、カンファレンスで説明する |
可動域や痛みの改善を、着替え・整髪・家事など、本人が行いたい生活動作につなげて考えることが大切です。本で学んだ評価は、生活動作の観察とセットで用いることで、作業療法の目標設定に結びつけやすくなります。
書籍で紹介されている評価や手技は、医師の診断や指示を踏まえ、患者さんの状態に合わせて選ぶものです。手技は可能であれば研修会などで実技指導を受けたうえで実施し、痛みや症状が強まる場合は無理に続けず、担当医と相談してください。
肩関節の本はどの順番で読む?学習順序の一例
4冊すべてをそろえる必要はありません。担当患者さんの病態と、いま迷っている場面に近い本から選ぶのが現実的です。以下は、可動域制限を組織ごとに学ぶところから始める場合の学習順序の一例です。
- 可動域制限を組織ごとに学びたい場合:『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』で、原因組織を考えるための評価の考え方を学ぶ
- 担当の多い病態に当てはめる:『五十肩の評価と運動療法』で、病期に応じた考え方を学ぶ
- 痛みの見方を広げる:『肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション』で、頸部由来の症状も検討する視点を学ぶ
- 考え方を言語化する:『肩関節理学療法マネジメント』で、評価から介入までの臨床推論を整理する
この順番は唯一の正解ではありません。五十肩の患者さんを担当しているなら五十肩の本から、肩と頸部の症状の関係で迷うことが多いなら肩関節痛・頸部痛の本から始めてかまいません。いずれの本も、解剖学の資料と照らし合わせながら読むと内容を追いやすくなります。
まとめ
肩関節の専門書は、同じ「評価と運動療法」を扱っていても、病期別・原因組織別・痛みの分類別・機能障害別と、整理のしかたが異なります。自分の臨床で何を学びたいかを決めてから選ぶと、手元の1冊を活用しやすくなります。
- 五十肩の病期に応じた評価・対応を学びたいなら『五十肩の評価と運動療法』
- 可動域制限の原因組織ごとの評価・運動療法を学びたいなら『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』
- 肩と頸部の両面から痛みを考えたいなら『肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション』
- 機能障害別の臨床推論を学びたいなら『肩関節理学療法マネジメント』
まずは担当患者さんに多い病態や、いま迷っている場面に近い1冊から読み始めてみてください。学んだ評価を生活動作の観察と組み合わせることで、作業療法の視点も深めやすくなります。肩関節リハビリの本選びの参考になれば幸いです。
五十肩の病期に応じた評価・対応を学びたい
▶ 五十肩の評価と運動療法をAmazonで見る可動域制限を原因組織ごとに学びたい
▶ 肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版をAmazonで見る肩と頸部の両面から痛みを考えたい
▶ 肩関節痛・頸部痛のリハビリテーションをAmazonで見る機能障害別の臨床推論を整理したい
▶ 肩関節理学療法マネジメントをAmazonで見るよくある質問(FAQ)
肩関節の本を1冊だけ買うなら、どれを選べばよいですか?
学びたい目的によって異なります。可動域制限を原因組織ごとに学びたいなら『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』、五十肩の担当が多いなら『五十肩の評価と運動療法』、肩と頸部の症状の関係で迷うことが多いなら『肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション』、評価から介入までの臨床推論を整理したいなら『肩関節理学療法マネジメント』が候補になります。
新人のセラピストでも読めますか?
いずれも臨床家向けの専門書で、機能解剖の内容を多く含みます。担当患者さんの病態や学習目的に近い本を選び、解剖学の資料と照らし合わせながら読むことをおすすめします。
理学療法の本は作業療法士にも役立ちますか?
肩関節の機能解剖や評価の考え方は、職種を問わず共通する部分が多くあります。作業療法士が読む場合は、学んだ評価を結髪・結帯・更衣・家事などの生活動作の観察と結びつけると、作業療法の評価や目標設定に生かしやすくなります。
『肩関節拘縮の評価と運動療法』の改訂版と臨床編は何が違いますか?
改訂版は、肩関節の基礎知識と、拘縮の原因組織ごとの評価・運動療法を体系的に解説した本です。臨床編は同書の続編で、出版社の紹介では、代表的な肩関節疾患や外傷のケーススタディを通して肩関節拘縮の診方を解説した本とされています。目次には、胸郭出口症候群、凍結肩、腱板断裂縫合術後、上腕骨近位端骨折などの章があります。考え方を改訂版で学び、症例への応用を臨床編で学ぶという使い分けができます。
刊行から年数が経っている本でも読む価値はありますか?
機能解剖や評価の考え方など、刊行から年数が経っても学びになる内容は多くあります。そのうえで、刊行後に発表された研究知見や現行の推奨については、論文やガイドラインで別途確認すると安心です。
- 医書.jp『五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる!』書誌情報・目次
- 運動と医学の出版社『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』商品ページ
- 運動と医学の出版社『肩関節拘縮の評価と運動療法 臨床編』商品ページ
- 羊土社『痛みの理学療法シリーズ 肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション』書籍ページ
- メジカルビュー社『肩関節理学療法マネジメント』書籍ページ
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