FIMの認知項目の採点方法|社会的認知(社会的交流・問題解決・記憶)を新人でも迷わず評価する完全ガイド
FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)の18項目の中でも、
認知項目、特に「社会的認知」は
- 「どこを見ればいいのか分からない」
- 「点数の境目があいまい」
- 「人によって点数がブレやすい」
と感じる新人OT・PTが非常に多い項目です。
この記事では、
👉 **FIMの社会的認知(社会的交流・問題解決・記憶)**について
👉 採点の原則 → 判断基準 → 点数ごとの具体例
👉 よくある間違いと考え方の整理
をセットで解説します。
FIMの認知項目(社会的認知)とは?
FIMの認知項目は以下の5項目で構成されています。
- 理解
- 表出
- 社会的交流
- 問題解決
- 記憶
本記事では、このうち
社会的認知に該当する3項目
- 社会的交流
- 問題解決
- 記憶
にフォーカスして解説します。
FIMの認知項目に共通する「採点の大原則」
① 複雑な課題か?簡単な課題か?で評価が分かれる
FIMの認知項目では、
「どのレベルの課題を評価しているか」が非常に重要です。
| 点数帯 | 評価する課題 |
|---|---|
| 7〜6点 | 複雑な課題 |
| 5〜1点 | 簡単(日常的)な課題 |
② FIMの5点は「監視」+「介助10%未満」を含む
新人が最も誤解しやすいポイントです。
5点(監視・補助・最小介助)は
- 声かけ
- 促し
- 準備
- 見守り
- 介助量が10%未満
👉 これらがあれば「自立」ではありません
FIMの社会的認知①|社会的交流の採点方法

社会的交流とは何を評価する?
他者と適切な関係を保てているかを評価します。
- 家族
- スタッフ
- 他患者
- 集団場面
での言動・態度・関わり方が評価対象です。
社会的交流の採点で見るポイント
- 他者と適切に関われているか
- 周囲の配慮(促し・修正・抑制)がどの程度必要か
- 7〜5点:不慣れな環境
- 4〜1点:慣れた環境
- 1場面だけでなく全体像で判断する
社会的交流|7点〜1点の具体的判断基準
| 点数 | 判断の目安 |
|---|---|
| 7点 | 不慣れな環境でも常に適切に交流できる |
| 6点 | 不慣れな環境でもほぼ適切だが、時間がかかる/服薬等の条件あり |
| 5点 | 不慣れな環境で10%未満の促し・配慮が必要 |
| 4点 | 慣れた環境で75〜90%未満のみ適切 |
| 3点 | 慣れた環境で50〜75%未満のみ適切 |
| 2点 | 慣れた環境で25〜50%未満 |
| 1点 | ほぼ交流できない/全く交流しない |
社会的交流|採点事例
事例①
訓練時間に遅れるが、交流自体は問題ない
→ 7点(時間管理は社会的交流ではない)
事例②
新しい環境では引きこもるが、時間が経てば適切
→ 6点(慣れに時間がかかる)
事例③
慣れない食堂では席の配慮が必要
→ 5点(10%未満の配慮)
FIMの社会的認知②|問題解決の採点方法

問題解決で評価する本質
問題を解けるかどうかではありません。
👉
- 問題に気づく
- 判断する
- 行動する
この一連の流れができているかを評価します。
複雑な問題と日常の問題
複雑な問題
- 金銭管理
- 退院計画
- 薬の自己管理
- 対人トラブル
日常の問題
- 危険回避
- ナースコール
- 誤嚥防止
- 転倒回避
問題解決|7点〜1点の判断基準
| 点数 | 判断の目安 |
|---|---|
| 7点 | 複雑な問題を認識・判断・実行できる |
| 6点 | 複雑な問題に時間はかかるが対応可能 |
| 5点 | 日常問題はほぼ対応、複雑な問題は不可 |
| 4点 | 日常問題で10〜25%不適切行動 |
| 3点 | 日常問題で25〜50%不適切行動 |
| 2点 | 日常問題で50〜75%不適切行動 |
| 1点 | 75%以上で不適切行動 |
問題解決|採点事例
事例①
複雑な課題も解決できるが時間がかかる
→ 6点
事例②
ナースコールは押せるが退院計画は決断できない
→ 5点
事例③
転倒リスクがあるのに25〜50%起き上がる
→ 3点
FIMの社会的認知③|記憶の採点方法

記憶で評価する3つの課題
- 頻繁に出会う人
- 毎日の日課
- 他人からの依頼
👉 この3つは同じ重み(各1/3)
記憶|7点〜1点の判断基準
| 点数 | 判断の目安 |
|---|---|
| 7点 | 3課題すべて自立で記憶・再生 |
| 6点 | 手帳・タイマー使用で自立 |
| 5点 | 10%未満で忘れる |
| 4点 | 10〜25%忘れる |
| 3点 | 25〜50%忘れる |
| 2点 | 50〜75%忘れる |
| 1点 | 75%以上忘れる |
記憶|採点事例
事例①
日課は手帳を使えば可能
→ 6点
事例②
依頼を4回に1回忘れる
→ 5点(約8%)
事例③
人は分かるが日課・依頼はほぼ不可
→ 2点
よくある間違い|どの項目で減点する?
例題
「食前に薬を飲んでください」と伝えたが飲まなかった
- 理解:言葉の意味が分からない
- 問題解決:分かっているが判断しなかった
- 記憶:忘れていた
👉 同じ現象でも評価項目は異なる
FIMの認知項目を正しく採点する4ステップ
- 各項目の「評価目的」を理解する
- 実際の症例で点数をつけてみる
- 他スタッフと点数の理由を話し合う
- 日常的にFIMを使い慣れる
まとめ|FIMの社会的認知は「全体像」で評価する
- 1場面だけで決めない
- 環境(慣れ/不慣れ)を意識
- 介助量・配慮の割合を数値で考える
この視点を持つだけで、
FIMの認知項目は一気に採点しやすくなります







