FIMの「更衣(上半身・下半身)」の評価・採点方法【4動作・割合評価を完全整理】

評価・セラピスト向け

FIMの更衣は、「服を用意すれば着られる」「靴下だけ介助している」といった場面で採点に迷いやすい項目です。FIM更衣の採点では、人の援助が必要か、その援助が準備・見守りにとどまるか、身体介助があれば本人が更衣全体のどの程度を担っているかが判断の軸になります。本記事では作業療法士の視点で、1〜7点の基準に加え、ボタンのみの介助や2人介助、血栓予防用ストッキングなど迷いやすい場面を、参照資料の例をもとに整理します。

OT
この記事を書いた人:作業療法士 Takahiro(福岡で訪問型の自費リハビリ「Home Reha 福岡」を運営)
⚠ この記事の位置づけ

本記事は採点の基本的な考え方を解説するもので、正式な採点マニュアルの代替ではありません。主な参照資料は米国の資料のため、個別の採点は所属施設で使用している正式なFIMマニュアルと評価条件で確認してください。

FIM(機能的自立度評価法)の更衣とは

FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)は、日常生活動作を「実際にどの程度の援助を受けて行っているか」で評価する指標です。FIMの更衣は、服の着脱に必要な援助の量を多職種で共有し、生活場面での自立を支える介入につなげるために用いられます。

更衣には「更衣・上半身」と「更衣・下半身」の2項目があり、それぞれを1〜7点で評価します。着る動作と脱ぐ動作の両方が対象で、適用されている義肢・装具の着脱も関係します。[1,2]

項目観察する内容の例
更衣・上半身シャツ、肌着、ブラジャーなどの着脱、ボタンやファスナーの操作
更衣・下半身下着、ズボンやスカート、靴下・靴の着脱、留め具の操作

上半身は自立していても、下半身では援助を要することがあります。両項目をまとめて「更衣は見守り」と記録せず、どちらの、どの場面で援助したかを分けて残すと、情報が正確に伝わります。

かぶり型の衣服を着る動作は、観察のために以下の4つに分けて捉えることができます。どの動作で援助が必要になるかを確認しましょう。衣服の種類や本人の着方によって、動作の順序や分け方は異なります。

かぶり型の衣服を着る4つの動作:衣服をかぶる、片袖を通す、もう一方の袖を通す、衣服を引きおろして整える
かぶり型の衣服を着る動作の観察例。前開き衣服や脱衣は別途確認します。各動作を一律25%としてFIMを採点するものではありません。

採点前に押さえたい用語

用語意味
修正自立人の援助はいらないが、自助具の使用、時間の延長、安全性への配慮などの条件がつく状態
準備(セットアップ)動作を始める前に、衣服や道具を手元に用意するなどの援助
監視見守り、声かけ、促しなど、身体に触れずに行う援助
身体介助着脱動作を直接助ける、または更衣中の姿勢を支える援助
遂行割合更衣全体のうち、本人が自分で行った部分の割合

更衣の遂行を助けていない観察・確認目的の接触や、衣服を手元に用意したことだけでは、身体介助とは判断しません。ただし、評価中でも姿勢を支えたり、着脱を助けたりした場合は、その援助を含めて判断します。また、装具の装着のように、正式な基準で準備の援助として扱われる内容もあるため、該当する場合は別途確認します。

FIM更衣の採点基準(1〜7点)

まずは下の早見表で、1〜7点の全体像を確認しましょう。

FIM更衣の採点早見表(1〜7点)
FIM更衣の採点早見表

早見表の内容を、判断の基本とあわせて表に整理しました。割合は「介助者が行った割合」ではなく、本人が行った割合で考えます。[2]

点数区分判断の基本
7点完全自立他者の援助や特別な用具を必要とせず、適切な時間内に安全に完了する
6点修正自立人の援助は不要だが、自助具を使う、通常より時間を要する、安全性への配慮が必要などの条件がある
5点監視・準備衣服の準備、見守り、声かけなどが必要
4点最小介助身体介助があり、本人が75%以上を行う
3点中等度介助本人が50%以上75%未満を行う
2点最大介助本人が25%以上50%未満を行う
1点全介助本人が行う割合が25%未満。参照資料[1]では、1つの更衣動作の完了に2人の援助が必要な場合も1点とする例がある
💡 作業療法士のポイント

6点と5点の境界は、人の援助が必要かどうかです。安全性への配慮は6点の判断要素になりますが、更衣を完了するために人の見守り・声かけ・支えが必要であれば、6点ではなく5点以下で考えます。動作ができるかではなく、人の援助なしで最後まで終えられるかを見ることが、点数のぶれを減らす第一歩です。

FIM更衣の採点手順と評価の流れ

採点では、次の4点を個別に確認し、最後にそれらを組み合わせて点数を判断します。

1.評価期間内の実際の更衣場面を見る

リハビリ室で一度できた動作と、病棟で日常的に行っている動作には違いが生じることがあります。普段着ている衣服、着替える場所、時間帯、姿勢を確認し、評価期間内の実際の遂行状況を観察しましょう。

場面によって遂行状況に差がある場合、参照資料[1]では、定められた評価期間内で低いほうの自立度を記録する原則が示されています。ただし、評価期間の設定や入退院時の運用は米国資料のものであり、日本の施設では使用するマニュアルの評価期間に従います。評価期間外の状態や過去の状態まで含めて最低点を付けるものではありません。

2.準備・声かけと身体介助を分ける

衣服を手元に置く援助と、袖を通したりズボンを引き上げたりする援助は、内容が異なります。立位で体幹を支える場合は、衣服を直接操作していなくても、更衣中の姿勢を支える身体介助にあたります。

記録では「更衣介助あり」だけでなく、介助者が何をしたかを具体的に書きます。

3.必要な介助者数と例外を確認する

参照資料[1]には、1つの更衣動作を完了するために2人の援助が必要な場合は1点とする例があります。例えば、1人が立位を支え、もう1人がズボンを引き上げるといった場面です。

これは本人の遂行割合だけでは判定できない例外として扱われています。一方で、評価者と見学者など、単にその場に2人いるだけの場合は該当しません。日本での適用は、使用する正式マニュアルで確認してください。

4.身体介助がある場合は更衣全体の遂行割合で考える

介助者が1人で身体介助をしている場合は、着用している衣服や残りの動作を含めて、該当する上半身または下半身の更衣動作全体で本人が担う割合を判断します。着衣と脱衣の両方を確認しますが、両者の遂行割合や点数を単純に合算・平均するものではありません。援助の程度が異なる場合は、使用するマニュアルの評価期間と、遂行状況の変動を扱うルールに従って判断します。

観察用に工程を分けることは有用ですが、独自に決めた工程数を、そのまま公式の配点として扱わないようにします。「4工程中3工程できたから必ず75%」とする前に、正式な判断方法を確認してください。

4つのポイントを組み合わせた評価の流れ

📋 FIM更衣の評価の流れ
  1. 評価期間内の実際の更衣を、上半身・下半身、着衣・脱衣に分けて確認する
  2. 人の援助がない場合:自助具・時間・安全性から6点または7点を判断する
  3. 人の援助がある場合:必要な介助者数と援助の内容を確認する
  4. 準備・見守り・声かけのみで完了する場合:5点(装具の装着など、準備の援助として扱う例もある)
  5. 身体介助がある場合:2人介助など遂行割合だけでは判断しない条件を確認し、本人の遂行割合から1〜4点を判断する
  6. 点数と具体的な援助内容を記録し、看護師・介護福祉士・PT(理学療法士)・ST(言語聴覚士)などの多職種へ共有する
✅ 採点前のチェックリスト
  • 評価期間内の普段の衣服・場所・時間帯で観察した
  • 上半身と下半身を分けて確認した
  • 着衣だけでなく脱衣も確認した
  • 衣服の準備を誰が行っているか確認した
  • 声かけ・見守りと身体介助を区別した
  • 実際に更衣を助けた援助かどうかを確認した
  • 必要な介助者数を確認した
  • 装具・自助具の準備や着脱の援助を確認した

採点で迷いやすい場面

服を準備すれば自分で着脱できる

必要な援助が衣服の準備だけであれば、5点の判断に該当します。着脱ができることに加えて、普段の収納場所から衣服を取り出す部分にも目を向けます。[1]

ただし、衣服を取り出す動作と、収納場所まで歩く・車椅子で移動する動作は分けて考えます。参照資料[1]では、収納場所への移動は移動の項目で評価すると説明されています。「衣服を取りに行くときに歩行器を使うから、更衣も6点」とはなりません。

自助具を使えば一人で完了できる

リーチャー(離れた物をつかむ棒状の道具)やソックスエイド(靴下を履くための補助具)などを使い、人の援助なしで完了できる場合は、6点の判断に関係します。ソックスエイドに靴下を取り付けるなど、自助具の準備を他者が行っている場合は、その援助も見落とさないようにします。必要な援助が自助具や衣服の準備だけで、着脱中の身体介助やその他の援助がなければ5点です。着脱中にも身体介助がある場合は、その援助を含めて判断します。[1]

自助具の片づけや繰り返しの使用ができるかは、自宅や病棟での生活を支えるための追加観察として確認しておくと役立ちます。これは採点とは別の臨床情報であり、片づけができないことだけで更衣の点数が下がるわけではありません。

声かけがあれば最後までできる

「次は反対側の袖です」「服の向きを確認してください」など、必要な援助が声かけにとどまる場合は5点です。[1]

介入を考える際は、衣服の向きを理解できないのか、順序を保てないのか、途中で注意がそれるのかを観察します。同じ声かけでも、背景によって対応は変わります。

ボタン操作のみ介助する(上半身)

参照資料[1]には、最小介助の具体例として、シャツやブラウスのボタン操作だけに介助が必要で、それ以外の上半身更衣は自立している場合、更衣・上半身を4点とする例があります。

この例は「ボタン以外の上半身の着脱が自立している」という条件つきです。袖通しや脱衣にも援助がある場合は、更衣全体の遂行割合をあらためて確認します。

通常の靴下の着脱に介助する(下半身)

通常の靴下の着脱に身体介助がある場合は、下着、ズボン、靴などを含めた更衣・下半身全体で、本人が担う割合を確認します。本人が75%以上を担っていれば4点、50%以上75%未満なら3点という基準に照らします。[2]

⚠ 例の条件を確かめてから当てはめる

ボタン操作のみの介助で4点となるのは、他の上半身更衣が自立している場合の例です。一方、通常の靴下の介助は、ほかの下半身の動作や脱衣の状況によって遂行割合が変わるため、介助箇所の名前だけでは点数を決められません。

医療用の血栓予防用ストッキングの装着を介助する

参照資料[1]では、血栓予防用ストッキングを装具として扱い、その装着の援助のみが必要で、ほかの下半身更衣が自立している場合は5点とする例が示されています。

この例は医療用の血栓予防用ストッキングについてのもので、市販の着圧ソックスすべてに当てはまるわけではありません。通常の靴下として扱うか、装具として扱うかは、使用目的と使用するマニュアルの基準で確認します。

2人の援助が必要

立位が不安定で、1人が身体を支え、もう1人がズボンを引き上げるといった、1つの更衣動作の完了に2人の援助が必要な場合、参照資料[1]の例では1点です。本人がズボンの一部を自分で操作していても、遂行割合だけでは判定しない例外として扱われています。

評価者が2人で観察している場合や、見学者が同席している場合など、更衣の完了に2人の援助が必要ではない場面とは区別します。

ズボンを引き上げる間、1人で身体を支える

立位を保つための支えは、更衣中の姿勢を支える身体介助として捉え、更衣全体の遂行割合で判断します。軽く触れる程度なのか、体重を支えているのか、衣服の操作も代行しているのかを具体的に記録しましょう。

介入では、立位での方法だけでなく、座位での着脱やベッド上での方法など、本人が遂行しやすい選択肢を検討します。

装具の着脱を介助する

装具は、該当する更衣項目の評価に関係します。参照資料[1]には装具の装着の援助を準備として扱う例がありますが、すべての装具やすべての援助に同じ扱いが当てはまるとは限りません。

装具の種類、使用目的、援助の内容と、ほかの更衣動作が自立しているかを記録し、使用するマニュアルの該当例で確認してください。

更衣とトイレ動作の衣服操作を分ける

同じズボンでも、着替える際の着脱と、排泄時の上げ下げでは場面が異なります。排泄時の衣服操作はトイレ動作の項目で評価するため、トイレでズボンを上げられることだけを根拠に、靴下や靴を含む更衣・下半身まで自立と判断しないようにしましょう。

点数と一緒に残す記録例

以下は臨床記録の例です。点数だけでなく、援助の内容と条件を残すことを目的としています。

記録例伝わる内容
上半身5点。衣服を手元に準備すれば、着衣・脱衣とも身体介助・声かけなしで完了準備の援助が必要
上半身5点。着衣・脱衣とも、途中で停止するため次の手順の声かけが必要。身体介助なし手順を進める援助が必要
上半身4点。着衣・脱衣を通じてシャツのボタン操作のみ介助。ほかの上半身の着脱は自立ボタン操作のみの最小介助
下半身6点。リーチャーを本人が準備して使用し、着衣・脱衣とも人の援助なしで完了自助具を使った自立
下半身4点。着衣時のズボン引き上げで1人が軽く支える。着衣は本人が75%以上を実施し、脱衣は人の援助なしで完了。身体介助の内容と遂行割合
下半身1点。着衣時、立位保持に1人、ズボンの引き上げに1人の計2人の援助が必要介助者数による判定

さらに、衣服の種類、姿勢、所要時間、疲労や痛み、誤りの内容を追記すると、次の介入を考えやすくなります。

FIM更衣の点数をリハビリ目標につなげる

FIMは必要な援助の程度を共有するために役立ちますが、点数だけでは困難の原因まで分かりません。例えば同じ5点でも、衣服の準備が必要な人と、手順の声かけが必要な人では目標が異なります。前者では収納へのアクセス、後者では衣服の提示方法や手順の分かりやすさを検討できます。

身体介助が必要な場合は、どこで遂行が止まるのかを観察します。袖通しなら上肢や衣服の操作、靴下なら足へのリーチ、ズボンの引き上げなら姿勢保持や衣服の引っかかりなど、具体的な課題を挙げます。

点数帯ごとに検討できる練習の例

以下は練習内容の一例です。同じ点数でも原因や身体状況は異なるため、点数だけから練習内容や原因を選ぶことはできません。評価で把握した課題に合わせて選択してください。

🟧 1〜2点:本人が担える工程をつくる
  • 袖から腕を抜く、ズボンを膝まで下ろすなど、本人が担える工程を決めて練習する
  • 片麻痺がある場合の一般的な工夫の一例として、「麻痺側から着て、非麻痺側から脱ぐ」順序を介助者間で統一する
  • 座位が安定しない場合は、ベッド上や背もたれのある座位など、本人が取り組みやすい姿勢を選んで行う
🟦 3〜4点:止まる工程に絞って練習する
  • 足を組む、足台を使う、体幹を前に倒してリーチするなどの方法で、靴下の着脱を練習する
  • ズボンは座位で膝上まで通し、立ち上がって引き上げる手順に分けて練習する
  • ソックスエイドやリーチャーなどの自助具を試し、準備まで本人が行えるかも確認する

足を組む、体幹を前屈する、立位でズボンを引き上げるといった方法は、疼痛、術後の運動制限、転倒リスクなどを確認したうえで選択します。

🟩 5点:人の援助を減らす環境調整
  • 衣服を取り出しやすい位置に置き、本人が選んで準備する練習を行う
  • 着る順番に衣服を重ねておく、前後が分かる目印をつけるなど、提示方法を工夫する
  • 声かけの回数や内容を記録し、安全に遂行できることを確認しながら段階的に減らす

目標は生活場面で確認できる表現にする

目標は「FIMを3点から5点へ」だけでなく、「身体を支えずに、座位でズボンの着脱を完了する」など、生活場面で確認できる表現にすると共有しやすくなります。

以下は、点数と援助内容の対応を示すための架空の説明例で、特定の介入の効果を示すものではありません。下半身更衣で、靴下の着脱とズボンの引き上げに1人の身体介助が必要で、本人の遂行が50%以上75%未満の場合は3点に相当します。その後、座位での手順を統一し、ソックスエイドへの靴下の取り付けは介助者が行い、着脱中の身体介助や声かけなどのほかの援助がなく本人が完了するようになった場合は、必要な援助が準備のみとなるため5点に相当します。ソックスエイドの準備も含めて本人が人の援助なしで行えれば、6点の判断に関係します。

💡 臨床ではこう考える

FIMの更衣は、点数を上げること自体が目的ではありません。どの工程で、どのような援助が必要かを明らかにすることで、本人が担える部分を増やす具体的な介入が見えてきます。その積み重ねが、朝の身支度を本人のペースで終えられる生活につながります。

✅ 振り返りポイント
  • 上半身・下半身を分けて評価する
  • 着衣と脱衣の両方を確認する
  • 準備・声かけと身体介助を区別する
  • 身体介助では介助者数を先に確認する
  • 身体介助は更衣全体の遂行割合で判断する
  • 援助の内容と場面を点数と一緒に記録する

まとめ|FIM更衣は援助の種類と遂行割合で判断する

採点に迷ったときは、評価期間内の実際の更衣場面を観察し直し、「誰が、何を、どの場面で援助したか」を書き出してみてください。点数だけでなく援助の中身を残すことが、病棟での介助方法の統一と、本人に合ったリハビリ目標づくりにつながります。

FIMの更衣は、上半身・下半身を分けて、着衣と脱衣の両方を確認します。まず人の援助が必要かを見て、準備・声かけ・見守りと身体介助を分けます。身体介助がある場合は、2人介助など、遂行割合だけでは判断しない条件を確認したうえで、更衣全体で本人が担う割合を判断します。援助の種類と本人の遂行割合を軸に記録を残すことが、FIM更衣の採点を臨床に活かす基本です。

よくある質問

時間がかかる場合、何分以上なら6点ですか?

本記事で参照した公開資料には、全員に共通する「○分以上」という基準は示されていません。独自の分数を基準とせず、衣服や条件を記録し、使用するマニュアルに従って判断します。

着衣だけ観察すれば採点できますか?

更衣には脱衣も含まれます。着るときは介助がなくても、脱ぐときに援助が必要な場合があるため、両方を確認します。

シャツのボタンだけ介助している場合は何点ですか?

参照資料[1]には、ボタン操作のみに介助が必要で、それ以外の上半身更衣が自立している場合は更衣・上半身を4点とする例があります。袖通しや脱衣にも援助がある場合は、更衣全体の遂行割合を確認します。

靴下や靴はどちらの項目に含まれますか?

靴下や靴の着脱は更衣・下半身に含まれます。通常の靴下に身体介助がある場合は、下半身更衣全体で本人が担う割合を確認します。医療用の血栓予防用ストッキングは装具として扱う例があるため、通常の靴下とは区別します。

2人で介助している場合は何点ですか?

参照資料[1]には、1つの更衣動作の完了に2人の援助が必要な場合は1点とする例があります。本人の遂行割合だけでは判定しない例外です。評価者や見学者が2人いるだけの場合は該当しません。日本での適用は使用する正式マニュアルで確認してください。

自助具を他者が準備した場合は何点ですか?

必要な援助が自助具や衣服の準備だけで、着脱中の身体介助やその他の援助がなければ5点です。着脱中にも身体介助がある場合は、その援助を含めて判断します。

装具の着脱に介助が必要なら、必ず4点以下ですか?

一律には決められません。参照資料[1]には、血栓予防用ストッキングの装着の援助のみが必要で、ほかの下半身更衣が自立している場合は5点とする例があります。ただし、すべての装具や援助に当てはまるとは限らないため、装具の種類と援助内容を記録し、使用するマニュアルの該当例で確認してください。

衣服を取りに行くときに歩行器を使えば6点ですか?

いいえ。参照資料[1]では、収納場所への移動は移動の項目で評価するとされています。更衣では、衣服を取り出す部分と着脱の状況から判断します。

トイレでのズボンの上げ下げは更衣に含まれますか?

排泄時の衣服の上げ下げは、トイレ動作の項目で評価します。更衣・下半身は、着替えの場面での着脱を観察して判断します。

安全のための見守りだけでも5点ですか?

はい。更衣を完了するために人の見守りが必要であれば5点です。安全性への配慮が6点の判断要素になるのは、人の援助を必要としない場合です。評価のために観察者がその場にいるだけの場合とは区別します。

病衣だけで採点してよいですか?

病衣・寝間着のみで観察した場合は、通常の衣服での更衣能力と同じ条件ではないため、評価対象とするか、どう扱うかを使用する正式マニュアルで確認してください。着替える機会がない、衣服が用意されていないといった状況は、本人の更衣能力が低いことと同一視せずに記録します。米国の古いIRF-PAI資料には病衣のみの場合の独自コードがありますが、その運用を日本の1〜7点評価へそのまま持ち込まないようにします。

日によって介助量が違う場合はどう採点しますか?

参照資料[1]では、定められた評価期間内で遂行状況に差がある場合、低いほうの自立度を記録する原則が示されています。ただし、評価期間の設定は米国資料のものです。日本の施設では使用するマニュアルの評価期間に従い、評価期間外の状態や過去の状態までは含めません。

参考資料
  1. Centers for Medicare & Medicaid Services. IRF-PAI Training Manual, effective April 1, 2004. 更衣・上半身/下半身の定義、評価原則、Appendix H(H-11、H-13〜H-17). https://www.cms.gov/medicare/quality-initiatives-patient-assessment-instruments/irf-quality-reporting/downloads/irfpaimanual040104pdf.pdf
  2. Traumatic Brain Injury Model Systems National Data and Statistical Center. FIM Data Dictionary. https://www.tbindsc.org/staticfiles/DD/Chapters/FIM.html
  3. Shirley Ryan AbilityLab. Functional Independence Measure. https://www.sralab.org/rehabilitation-measures/functional-independence-measure

※本記事は参考情報であり、正式な採点マニュアルの代替ではありません。参照資料[1]は2004年の米国資料です。評価期間や例外の扱いは、実際に使用する正式なFIMマニュアルで確認してください。

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投稿者プロフィール

homereha
作業療法士。千葉県の回復期病院と福岡県の一般病院で、脳卒中・脊髄損傷・骨折・肩関節周囲炎などのリハビリに携わり、実施件数は約1.5万件。現在も病院勤務を続けながら、福岡で訪問型の自費リハビリ「Home Reha 福岡」を運営しています。福岡県作業療法士学会での発表、「作業療法・福岡」への論文掲載あり。

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