【作業療法士が解説】コース立方体組み合わせテスト(Kohs)とは?評価方法・見方・臨床での解釈

コース立方体組み合わせテスト(Kohs Block Design Test:KBDT)は、色分けされた立方体を用いて、提示された図案と同じ模様を作る検査です。主に非言語的な知的能力をみる検査として用いられますが、実際の課題遂行には視空間認知・構成能力・注意・問題解決・遂行機能など、さまざまな認知機能が関係します。そのため臨床では、得点だけでなく「どのように課題へ取り組んだか」という過程を観察することが重要です。コース立方体組み合わせテストは何を評価する検査なのか、評価方法や結果の見方、低得点はどう解釈すればよいのでしょうか?作業療法士の視点から詳しく解説します。

この記事は、訪問型の自費リハビリ「Home Reha 福岡」を運営する作業療法士が、臨床経験と文献をもとに執筆しています。

コース立方体組み合わせテスト(Kohs)とは?

コース立方体組み合わせテストは、英語ではKohs Block Design Test(KBDT)と呼ばれる検査です。

色分けされた立方体を組み合わせ、提示された図案と同じ模様を作成してもらいます。

コース立方体組み合わせテスト(Kohs Block Design Test)のイメージ

KohsによるBlock Design Testは20世紀初頭に開発され、非言語的な知的能力をみる検査として用いられてきました[1]

言葉による回答をほとんど必要としないため、言語機能の影響を比較的受けにくい非言語性検査として位置づけられます。

特に、言語性の課題だけでは認知機能を十分に把握しにくい場合に、非言語的な側面をみる手段の一つになります。

💡 一見シンプルな積み木課題ですが…

実際には、視空間認知・構成能力・問題解決能力・注意機能・遂行機能など、複数の認知機能が課題遂行に関係します。そのため臨床では、「IQが何点だったか」だけでなく、患者さんがどのように見本を捉え、立方体を操作し、誤りに気づき、修正したのかという過程を観察することが重要です。

コース立方体組み合わせテストでは何を評価している?

コース立方体組み合わせテストは、一般的には非言語性知能を評価する検査として知られています。

しかし、実際に課題を完成させるためには、複数の認知処理が必要です。

🔄 課題完成までの認知処理の流れ

見本を見る

図形を分析する

必要な立方体の向きを判断する

立方体を配置する

完成した形と見本を比較する

間違っていれば修正する

この一連の過程を考えると、検査成績には単純な「知能」だけではなく、さまざまな認知機能が影響することが分かります。

① 視空間認知(物の形や位置関係を目で見て捉える力)

まず必要になるのが、見本の形や位置関係を正確に捉える能力です。

たとえば、次のような情報を認識する必要があります。

  • 上下左右
  • 色の位置
  • 斜線の方向
  • ブロック同士の位置関係
  • 図形全体の構造

視空間認知に問題がある場合には、図案を正しく捉えたり、立方体の位置関係を判断したりすることが難しくなり、課題成績に影響する可能性があります。

なお、筋強直性ジストロフィー患者39例を対象にKohs Block Design Testを実施したWiggらの研究では、図案の再構成における視空間・構成面の困難が報告されています[3]。ただし、この研究の対象は筋強直性ジストロフィー患者であり、その結果を脳卒中などの脳損傷患者へそのまま当てはめることはできません。

② 構成能力(部分を組み合わせて全体の形を作る力)

見本を認識するだけでなく、それを立方体によって再構成する能力も必要です。

脳損傷後などでは、個々の立方体を操作することはできても、

「部分を組み合わせて、全体として見本と同じ形にまとめることが難しい」

という反応がみられることがあります。

このような場合には、構成能力の低下が関与している可能性があります。

ただし、コース立方体組み合わせテストだけで構成障害の有無を判断するのではなく、模写課題や他の視空間認知検査などと合わせて評価することが重要です。

③ 問題解決能力

図案が複雑になると、見ただけですぐに完成させることは難しくなります。

たとえば、

  • どこから作るか
  • この模様を作るにはどの面を使うか
  • うまくいかなければどこを変えるか

といった試行錯誤が必要です。

そのため、

  • 課題分析
  • 計画
  • 仮説形成
  • 試行錯誤
  • 修正

といった問題解決の過程も課題遂行に関係します。

④ 遂行機能(計画を立てて実行し、必要に応じて修正する力)

図案が複雑になるほど、遂行機能も関係してきます。

  • どこから作り始めるか
  • どの順番で作るか
  • 間違いに気づけるか
  • 方法を変更できるか
  • 最後まで効率的に進められるか

こうした行動も観察ポイントになります。

遂行機能に問題がある場合には、個々の立方体の向きは理解できていても、全体を見通して効率的に課題を進めにくいといった反応がみられることがあります。

⑤ 注意機能

課題中は、見本と自分が作っている図形を繰り返し比較する必要があります。

そのため、次のような注意機能も関係します。

  • 持続性注意(集中を保ち続ける力)
  • 選択性注意(必要な情報を選んで注意を向ける力)
  • 視覚探索(視野の中から必要な情報を探す力)
  • 注意の切り替え

注意機能に問題がある場合には、見落としや配置ミスなどが増える可能性があります。

⚠️ 低得点をそのまま「知能低下」と判断しない

コース立方体組み合わせテストの成績には、視空間認知・構成能力・注意・遂行機能・上肢機能など、さまざまな要因が影響します。そのため、低得点をそのまま「知能そのものの低下」と解釈するのは適切ではありません。

なぜ言語の影響を受けにくい検査といわれる?

コース立方体組み合わせテストの大きな特徴は、言語による回答をほとんど必要としないことです。

一般的な認知機能検査では、

  • 質問内容を理解する
  • 言葉で答える
  • 語彙を理解する

といった言語能力が必要な課題もあります。

一方、コース立方体組み合わせテストでは、主に視覚情報と立方体の操作によって課題を行います。

そのため、失語症などによって言語性課題の成績が影響を受けやすい患者さんにおいて、非言語的な認知機能を把握する手段の一つになります。

⚠️ 「言語の影響をまったく受けない検査」ではない

言語による回答をほとんど必要としない一方で、検査方法を理解するためには一定の指示理解が必要です。また、視覚機能・失行・上肢機能などの影響も受けます。そのため、「失語症があれば必ず正確に認知機能を評価できる検査」というわけではありません。

コース立方体組み合わせテストはどう実施する?

コース立方体組み合わせテストでは、複数の面が色分けされた立方体を使用します。

被検者に図案を提示し、その見本と同じ模様になるように立方体を組み合わせてもらいます。

一般的には、比較的簡単な課題から開始し、徐々に複雑な図案へ進んでいきます。

課題が難しくなるにつれて、

  • 使用する立方体の数が増える
  • 斜線を含む模様が増える
  • 部分と全体の関係が複雑になる
  • より高度な分析や計画が必要になる

など、認知的な負荷が高くなります。

⚠️ 正式な実施は必ずマニュアルに従う

正式な実施手順・開始位置・制限時間・中止基準・採点方法などについては、必ず正式な検査マニュアルに従ってください[2]。本記事は検査の概要や臨床的な見方を整理するものであり、正式な実施手順を代替するものではありません。

結果はどう見る?臨床で観察したい5つのポイント

コース立方体組み合わせテストでは、課題の達成状況や所要時間などをもとに、所定の方法によって得点を算出します。

ただし、リハビリテーションの臨床では、数値だけでは捉えられない情報があります。

むしろ重要なのは、

「どのような過程でつまずいたのか」

を観察することです。

観察された様子 考慮したい要因の例
見本そのものを正しく捉えにくい 視空間認知、視覚機能など
斜線の方向を繰り返し間違える 視空間認知、図形分析など
部分は作れるが全体をまとめにくい 構成能力、部分と全体の統合など
何度も同じ間違いを繰り返す 認知的柔軟性、方略の切り替えなど
左側のブロックや模様を見落とす 半側空間無視などの影響
正確だが非常に時間がかかる 処理速度、上肢操作、慎重さなど

同じ得点であっても、その背景にある要因は異なる可能性があります。

そのため、得点だけでなく、課題遂行中の様子も記録しておくことが重要です。

① 全体から作るか、部分から作るか

まず、患者さんがどのように図形を分析しているのかを観察します。

たとえば、

  • 外枠から作る
  • 角から作る
  • 1個ずつ見本と照合する
  • 全体像を確認してから作り始める

など、さまざまな戦略があります。

さらに、課題が難しくなった際に戦略を変更できるかも重要な観察ポイントです。

② 見本をどのように確認しているか

立方体を置いたあと、どの程度見本を確認するのかも観察します。

ほとんど見本を確認せずに作り続ける場合には、注意や自己モニタリング、課題への取り組み方などの影響を考慮します。

一方、1個置くたびに何度も確認する場合には、処理速度、視空間ワーキングメモリ、慎重さなど複数の要因が関係している可能性があります。

ただし、こうした行動だけから特定の障害を決めつけることはできません。他の検査や生活場面での観察と合わせて解釈することが重要です。

③ 誤りに自分で気づけるか

完成後に、見本と自分が作った図形を見比べて、

「何か違う」

と自分で気づけるかどうかも重要です。

誤りを認識し、自発的に修正できる場合には、自己モニタリング機能が比較的保たれている可能性があります。

一方、見本と異なっていても完成したと判断する場合には、誤りの認識や自己モニタリングなどの問題が影響している可能性があります。

④ 同じ間違いを繰り返していないか

立方体の向きを変えても同じ誤りを繰り返す、同じ方法にこだわり続けるといった反応がみられる場合があります。

このような場合には、

  • 認知的柔軟性
  • 方略の切り替え
  • 保続傾向

などにも注目します。

ただし、単一の行動だけで「前頭葉機能障害がある」「保続がある」と判断するのではなく、FAB(Frontal Assessment Battery:前頭葉機能検査)BADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome:遂行機能障害症候群の行動評価)など、他の遂行機能評価と合わせて検討します。

⑤ 左右差がないか

右半球損傷などでは、

  • 左側のブロックを配置しない
  • 左側の模様を見落とす
  • 全体の配置が右側へ偏る

といった反応がみられる場合があります。

このような場合には、半側空間無視などの影響を考慮します。

ただし、コース立方体組み合わせテストだけで半側空間無視を判断することはできません。

BIT(行動性無視検査)は半側空間無視を評価するために標準化された検査であり、検査成績だけでなく日常生活上の行動も含めて評価することが重要です[4]

低得点は知能低下といえる?解釈で注意したい要因

ここは、コース立方体組み合わせテストを解釈するうえで非常に重要なポイントです。

コース立方体組み合わせテストは非言語性知能を評価する検査として用いられますが、

「点数が低い=知能そのものが低い」

とは限りません。

影響しうる要因 成績への影響の例
半側空間無視 片側のブロックや模様を見落とす
視覚機能の問題 見本や色・模様を正確に捉えにくい
構成能力の低下 部分を組み合わせて全体の形にまとめにくい
注意障害 比較や確認が続かず、見落としやミスが増える
遂行機能の低下 手順の計画や方略の修正が難しくなる
上肢麻痺 立方体の操作に時間がかかる
失行 立方体の操作そのものが難しくなる場合がある
処理速度の低下 課題完成までに時間を要する
疲労や集中力の低下 課題後半になるほど成績が低下する可能性がある

🩺 臨床での考え方

最終的な得点は、複数の認知機能や身体機能の影響を受けた結果として解釈する必要があります。数値だけで判断するのではなく、「なぜこの問題でつまずいたのか」を考えることが重要です。

上肢麻痺がある場合はどう考える?

コース立方体組み合わせテストは、実際に立方体を操作する検査です。

そのため、上肢機能の影響を受けます。

たとえば片麻痺の患者さんでは、

  • 立方体をつかむのに時間がかかる
  • 立方体を回転させにくい
  • 細かな位置調整が難しい

といった理由で、課題遂行に時間がかかることがあります。

この場合には、

「認知処理に時間がかかっているのか」

「運動操作に時間がかかっているのか」

を分けて観察することが重要です。

🩺 作業療法士の視点

「どこに置けばよいかは分かっているが、手が思うように動かない」のか、「そもそもどこに置けばよいか判断できていない」のかでは、課題遂行が難しい理由が異なります。上肢機能と認知機能の両面を観察しながら、背景にある要因を整理することが大切です。

特に所要時間を含めて評価する場合には、上肢機能が結果に与える影響を考慮して解釈する必要があります。

失語症の患者に用いられるのはなぜ?

コース立方体組み合わせテストの特徴の一つが、言語による回答をほとんど必要としないことです。

失語症の患者さんでは、MMSE(Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)など、言語理解や言語反応を必要とする検査において、認知機能そのものだけでなく失語症の影響によって得点が低下する場合があります。

そのため、言語性の課題だけでは認知機能を十分に把握しにくいことがあります。

コース立方体組み合わせテストでは、主に視覚情報と立方体の操作によって課題を行うため、失語症の患者さんの非言語的な認知機能を把握する手段の一つになります。

⚠️ 失語症があっても結果を単独で解釈しない

言語反応をほとんど必要としない検査ですが、指示理解・視覚認知・失行・上肢操作能力などの影響は受けます。そのため、「Kohsができない=認知機能が低い」「Kohsができる=認知機能に問題がない」と単純に判断することはできません。

構成障害とはどう関係する?

コース立方体組み合わせテストを臨床で使う際には、構成能力との関係も重要です。

見本の形はある程度捉えられている

しかし、立方体を使うとうまく再現できない

このような場合には、

  • 視覚認知の問題なのか
  • 空間配置の問題なのか
  • 部分と全体を統合することが難しいのか
  • 運動計画や立方体操作の問題なのか

などを、他の検査と組み合わせながら考えます。

筋強直性ジストロフィー患者39例を対象としたWiggらの研究では、Kohs Block Design Testにおける図案の再構成での視空間・構成面の困難が報告されています[3]

ただし、この研究は筋強直性ジストロフィー患者を対象としており、脳卒中やその他の脳損傷患者に同じ所見が生じることを直接示した研究ではありません。臨床では、立方体模写、時計描画、ROCFT(Rey-Osterrieth Complex Figure Test:Rey-Osterrieth複雑図形検査)などと比較しながら、どの認知過程でつまずいているのかを整理します。

他の認知機能検査とどう組み合わせる?

コース立方体組み合わせテストだけで、高次脳機能全体を評価することはできません。

目的に応じて、他の神経心理学的検査と組み合わせることが重要です。

領域 検査の例 評価する内容の例
全般的認知機能 MMSE(Mini-Mental State Examination)
HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)
MoCA(Montreal Cognitive Assessment)
認知機能の全体的な状態
注意機能 TMT(Trail Making Test:トレイルメイキングテスト)
CAT(Clinical Assessment for Attention:標準注意検査法)
注意の持続・選択・切り替えなど
視空間認知・空間性注意 BIT(Behavioural Inattention Test:行動性無視検査)
ROCFT(Rey-Osterrieth Complex Figure Test:Rey-Osterrieth複雑図形検査)
半側空間無視、図形の構成・記憶など
遂行機能 FAB(Frontal Assessment Battery)
BADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome)
計画、切り替え、実行、自己修正など
非言語性推理 Raven色彩マトリックス検査 言語に依存しにくい推理能力

一つの検査結果だけで患者さんの認知機能を決めつけず、複数の評価結果と実際の生活場面を統合して考えることが重要です。

🔄 臨床での評価の流れ

コース立方体組み合わせテストの得点を確認する

作業過程(戦略・照合・誤りへの気づき)を観察する

どの認知過程でつまずいているのか仮説を立てる

他の検査や行動観察で仮説を検討する

ADL・IADLの場面と結びつけて考える

医師・言語聴覚士・理学療法士・看護師・心理職など多職種で共有する

作業療法士は「完成までの過程」の何を見る?

コース立方体組み合わせテストを臨床で活用するうえで、特に重要なのが、

得点だけでなく、完成するまでの過程を見ること

です。

たとえば、次の2人を比べてみます。

患者Aさん(例)

見本をじっくり観察

角から順番に配置

間違いに自分で気づく

自分で修正して完成

患者Bさん(例)

見本をあまり確認しない

思いついた場所から配置

間違っても修正しない

完成したと判断する

仮に両者の得点が近かったとしても、課題遂行の特徴は異なります。

Aさんでは、課題分析や誤りへの気づき、自己修正が比較的保たれている可能性があります。

一方、Bさんでは、注意、課題の進め方、自己モニタリング、方略の修正などをさらに確認する必要があるかもしれません。

ただし、これらはあくまで観察から立てる仮説です。

一つの行動だけから特定の認知障害を断定するのではなく、他の評価によって確認していきます。

💡 OTが見るポイント

「どの検査項目ができなかったか」だけでなく、「どの認知過程でつまずいたのか」「それが実生活のどの作業に影響しているのか」まで考えることで、評価をリハビリテーションにつなげやすくなります。

ADL・IADLにはどうつながる?

コース立方体組み合わせテストで必要となる能力は、日常生活のさまざまな場面でも使用されています。

生活場面 関連する能力の例
更衣 衣服の前後や左右を認識し、身体との位置関係を合わせる
料理 複数の工程を計画し、途中で確認・修正する
買い物 目的の商品を探しながら、周囲の情報や位置関係を整理する
運転 視覚探索・空間認知・注意・判断など複数の認知機能を用いる

ただし、これらの日常生活能力をコース立方体組み合わせテストの得点だけから直接予測することはできません。

運転評価ではどう考える?

山田らは、実車評価を受けた脳血管障害者93名を対象に、MMSE(Mini-Mental State Examination)、Kohs、TMT-A・TMT-B(Trail Making Test Part A・Part B)と実車評価との関連を検討しています[5]

実車評価の合格群と不合格群を比較した結果、MMSE、Kohs、TMT-A、TMT-Bのすべてで有意差が認められました。Kohsについても合否群間で有意差が認められています(p=0.047)[5]

一方、年齢を含めて行った多変量ロジスティック回帰分析では、TMT-Aが実車評価と関連する項目として採択されました[5]

この結果からも、Kohsは運転に関連する認知機能を考える際の情報の一つにはなりますが、Kohsの得点だけで運転可否を判断することはできません。

運転に限らず、検査結果はあくまで一つの情報として捉え、実際のADL・IADL場面での観察や他の評価結果と合わせて解釈することが大切です。

✅ 振り返りポイント

  • 非言語性知能
  • 視空間・構成能力
  • 低得点の要因分析
  • 上肢・言語機能の影響
  • 作業過程の観察
  • ADL・IADLとの統合

まとめ

コース立方体組み合わせテスト(Kohs Block Design Test)は、色分けされた立方体を使って、提示された図案と同じ模様を作成する検査です。

主に非言語性知能を評価する検査として用いられますが、実際の課題遂行には、視空間認知・構成能力・注意機能・問題解決能力・遂行機能・自己モニタリングなど、複数の認知機能が関係します。

そのため臨床では、「何点だったか」だけでなく、「どのように課題へ取り組んだのか」を見ることが重要です。

どのように見本を観察したのか、どこから作り始めたのか、誤りに気づけたのか、方法を変更できたのか、左右で見落としはなかったのか。こうした作業過程を観察することで、患者さんの認知機能の特徴をより具体的に捉えることができます。

作業療法士としては、検査結果だけで完結させず、他の神経心理学的検査やADL・IADL場面での観察と結びつけながら、「患者さんが実際の生活のどこで困る可能性があるのか」を考えることが、コース立方体組み合わせテストを臨床で活かすポイントです。

よくある質問(FAQ)

Q1. コース立方体組み合わせテストは何を評価する検査ですか?

一般的には非言語性知能を評価する検査として知られています。ただし、実際の課題遂行には視空間認知・構成能力・問題解決能力・遂行機能・注意機能など複数の認知機能が関係するため、得点だけでなく作業過程の観察も重要です。

Q2. 失語症があっても実施できますか?

言語による回答をほとんど必要としないため、失語症の患者さんの非言語的な認知機能を把握する手段の一つになります。ただし、一定の指示理解は必要であり、視覚認知・失行・上肢機能などの影響も受けるため、結果は単独で解釈しません。

Q3. 低得点は知能が低いという意味ですか?

そうとは限りません。半側空間無視、視覚機能の問題、構成能力の低下、注意障害、遂行機能の低下、上肢麻痺、失行、処理速度の低下、疲労などによっても成績は低下する可能性があります。

Q4. 片麻痺があっても実施できますか?

立方体を操作する検査のため、上肢機能の影響を受けます。認知処理に時間がかかっているのか、運動操作に時間がかかっているのかを分けて観察し、特に所要時間を含めて評価する場合には上肢機能の影響を考慮します。

Q5. 半側空間無視はこの検査だけで判断できますか?

できません。片側のブロックや模様を見落とす様子がみられた場合には半側空間無視の影響を考慮しますが、BITなどの標準化された評価や日常生活場面での観察と合わせて判断する必要があります。

Q6. 点数以外にどのようなところを観察すればよいですか?

全体から作るか部分から作るか、見本をどのように確認しているか、誤りに自分で気づけるか、同じ方法を繰り返していないか、左右差がないかなどが観察ポイントになります。

Q7. 注意障害があると成績はどうなりますか?

見本と作成中の図形を繰り返し比較する必要があるため、持続性注意・選択性注意・視覚探索・注意の切り替えなどに問題がある場合には、見落としや配置ミスが増える可能性があります。

Q8. どの検査と組み合わせるとよいですか?

目的によって異なりますが、全般的認知機能ではMMSE・HDS-R・MoCA、注意機能ではTMT・CAT、視空間認知や空間性注意ではBIT・ROCFT、遂行機能ではFAB・BADS、非言語性推理ではRaven色彩マトリックス検査などを組み合わせます。

Q9. 得点から日常生活の能力を予測できますか?

コース立方体組み合わせテストの得点だけから、ADL・IADL能力を直接予測することはできません。検査結果は一つの情報として捉え、実際の生活場面での評価や他の検査結果と合わせて解釈することが大切です。

Q10. 検査を実施するときに気をつけることはありますか?

正式な実施手順・制限時間・中止基準・採点方法などは、必ず正式な検査マニュアルに従ってください。また、患者さんの疲労や集中力、視覚機能、上肢の操作性など、検査成績に影響しうる要因にも注意します。

参考文献・参考情報

  1. Kohs SC. Intelligence Measurement: A Psychological and Statistical Study Based upon the Block-Design Tests. New York: The Macmillan Company; 1923.
  2. 大脇義一 編.コース立方体組み合わせテスト使用手引.三京房.
  3. Wigg CM, Duro LA. The Kohs' blocks test as an important instrument to investigate the visuo-spatial impairments in myotonic dystrophy. Part I. Quantitative and qualitative analysis. Arq Neuropsiquiatr. 1999;57(3A):547-555. doi:10.1590/S0004-282X1999000400002.
  4. 石合純夫.Clinical and experimental approaches to unilateral spatial neglect: from Behavioural Inattention Test (BIT) to deep tests. 高次脳機能研究. 2004;24(3):232-237. doi:10.2496/hbfr.24.232.
  5. Yamada K, Sasaki T, Kudo A, Sengoku Y. Relationships between Neuropsychological Tests and On-road Driving Assessment for Stroke Patients. Higher Brain Function Research. 2013;33(2):270-275. doi:10.2496/hbfr.33.270.

本記事は医療・リハビリテーションに関する一般的な参考情報であり、診断や個別の医療判断の代わりになるものではありません。コース立方体組み合わせテストの実施・採点・解釈は、正式な検査マニュアルおよび施設の運用に従ってください。

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