脊髄損傷リハビリのおすすめ本4選|PT・OT向け専門書3冊と患者・家族向け1冊
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脊髄損傷のリハビリは、損傷の高さや完全麻痺・不全麻痺の違いで目指す動作が大きく変わり、学ぶ範囲が広い領域です。本記事では、作業療法士の視点から脊髄損傷リハビリのおすすめ本を4冊選び、全体像・臨床経過・不全麻痺・患者と家族向けという目的別に整理しました。「脊髄損傷の本はどれから読む?」「OTとPTで選ぶ本は違う?」「家族が読める本はある?」という疑問にお答えします。
この記事を書いた人:Home Reha 福岡|作業療法士
目次
【結論】脊髄損傷リハビリの本は目的で選ぶ|4冊の比較表
今回の4冊のうち3冊は医療専門職向けの専門書、1冊は患者さん・ご家族向けの一般書です。順位で優劣を決めるのではなく、「誰が」「何を学びたいか」で選ぶのがおすすめです。
本記事では、出版社が公開している書籍紹介・目次・序文をもとに、作業療法士の視点から各書の特徴と選び方を整理しています。どの本が誰にとっても最適という意味ではありません。
| 学びたいこと | おすすめの本 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 脊髄損傷リハの全体像 | 脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版 | 疫学・評価から看護、福祉機器、就労支援、再生医療まで15章で網羅 |
| 時期ごとの基本動作とADL | 脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ | 臨床経過モデル図で「いつ何をするか」を整理し、PTの基本動作とOTのADLをセットで掲載 |
| 理学療法と不全麻痺の運動療法 | 脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版 | 移乗・歩行練習から不全麻痺の運動療法まで、理学療法の項目が細かく分かれている |
| 患者・家族が知っておきたいこと | 患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ | リハビリ科専門医が、転院先の選び方や支援制度を一般向けに解説 |
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OTが「どの時期に、どの動作やADLから関わるか」を整理したい場合は、『脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ』が最初の候補になります。ただし、福祉機器や住宅改修、就労支援まで含めて全体像を押さえたいなら『脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版』から、不全麻痺の歩行練習を深めたいPTなら『脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版』から読み始めて十分です。患者さんやご家族に紹介する本を探している場合は、専門書ではなく『患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ』が選択肢になります。
- 脊髄損傷の患者さんを担当することになり、何から勉強すればよいか迷っている
- 損傷高位ごとに目指せる動作やADLのイメージがまだつかめない
- 不全麻痺の方の歩行や運動療法の組み立てに悩むことがある
- 退院後の住宅改修や制度の活用まで見据えて関わりたい
- 家族が脊髄損傷になり、リハビリや転院先について知りたい
脊髄損傷リハビリのおすすめ本4冊をくわしく紹介
ここからは4冊それぞれについて、学べる内容、向いている方、事前に知っておきたい点を紹介します。
脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版
脊髄損傷リハビリに長く取り組んできた神奈川リハビリテーション病院のチームが編集した、約20年ぶりの全面改訂版です。疫学、評価と予後予測、急性期のマネジメント、合併症、動作練習、ADL支援・上肢機能、看護、スポーツ、車椅子・福祉機器、住宅改修、社会資源、就労支援、小児、慢性期、再生医療とロボティクスまで、15章で幅広く扱っています。
- ADL支援の章が、食事・整容、書字・パソコン操作、更衣、移乗、排泄、入浴、自動車運転、公共交通機関の利用などに細かく分かれている
- 住宅改修が「四肢麻痺介助ベース」「四肢麻痺自立ベース」「高齢不全四肢麻痺」に分けて解説されている
- 増加している高齢の不全頸髄損傷への対応に多くの紙幅を割いていると、序文で述べられている
- 頸髄損傷者の旅行・単身生活・育児・就労・介助犬などのコラムで、退院後の生活をイメージしやすい
この本は動作練習の手順書というだけでなく、退院後の生活までを一続きで見渡すための本です。ADL支援、福祉機器、住宅改修、社会資源の章が同じ本の中で並んでいるため、病棟での練習と自宅での生活を結びつけて考えやすくなります。家庭復帰や就労を見据えた目標設定を考える場面で、手元に置いておきたい内容です。
- 全領域を1冊で扱うため、特定の動作の練習手順をさらに深く知りたい場合は、ほかの本で補う必要があります
- 2019年の刊行のため、制度や機器の情報は最新の状況もあわせて確認してください
- 脊髄損傷リハの全体像を1冊で押さえたい方
- ADL支援、福祉機器、住宅改修まで含めて学びたいOT
- 看護師やMSWなど、多職種で共通の参考書を探している方
脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ―臨床経過モデルに基づく介入
PT・OTが脊髄損傷にどう関わり、どの時期に何をすればよいかを実際の臨床に即して解説した本です。基礎知識編では、脊髄損傷の病態、検査・分類、予後予測、クリニカルパスを整理しています。障害像別の介入では、急性期・回復期や、完全四肢麻痺・完全対麻痺・不全四肢麻痺・中心性頸髄損傷などに分けて、基本動作とADLへの関わり方を解説しています。
ADLを単独の練習項目として切り出すのではなく、寝返りや起き上がり、移乗といった基本動作とのつながりの中で考えられる構成です。臨床経過モデル図によって、いまの時期の練習が次にどのADLにつながるのかを確認しやすくなります。PTと同じ図を見ながら役割分担を話し合えるのも、チームで関わるうえでの利点です。
- 脊髄損傷の担当が初めてで、時期ごとの関わり方を知りたい新人・若手のPT・OT
- 更衣、自己導尿、入浴、自動車運転などのADLを具体的に学びたいOT
- PTとOTで介入の流れを共有したい方
- PT向けの「基本動作」とOT向けの「ADL」がセットで掲載され、どの時期に何をするかが見通しやすい
- ISNCSCI、Frankel分類、改良Frankel分類、Zancolli分類など、脊髄損傷に特有の検査・分類の解説がある
- 予後予測、排尿・排便障害、高位頸髄損傷者の人工呼吸器管理など、リスク管理に関わる項目も含まれている
- 臨床経過モデルは、障害像と時期ごとに想定された経過の一例です。すべての方が同じ順序や期間で進むわけではないため、残存機能や合併症、本人の生活目標に合わせて活用します
- 動作とADLへの介入が中心のため、住宅改修や制度、就労支援などを詳しく学びたい場合は他書との併用が向いています
- 紙版は2色刷です。図や写真の見やすさ、文字の大きさは、購入前に試し読みで確認してください
脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版
脊髄損傷の理学療法をどう組み立てるかを解説したマニュアルの第3版です。序文では、完全麻痺よりも不全麻痺の患者さんの割合が高くなり、定型的な練習メニューだけでなく回復のためのプログラムを組み合わせる必要が出てきたことが、改訂の背景として述べられています。
- 理学療法を軸にした構成ですが、食事・更衣・排泄・入浴などのADLや、住宅整備・社会生活も扱っています。OTが選ぶ場合は、上肢機能や自助具など、自分が詳しく学びたい内容を目次・試し読みで確認するとよいでしょう
- 454頁と分量が多いため、通読よりも担当患者さんに必要な章から読む使い方が向いています
- 移乗動作が「ベッド⇔車椅子」「トイレ⇔車椅子」「自動車⇔車椅子」「床⇔車椅子」に分けて解説されている
- 立位・歩行の章では、長・短下肢装具、継手付き装具、杖・歩行器、ロボットによる歩行支援を、それぞれの項目で扱っている
- 不全麻痺の運動療法として、座位・四つ這い・立位・歩行練習や体重免荷式トレッドミルトレーニングの項目がある
- 高位頸髄損傷、環境制御装置、セクシュアリティ、痙縮治療、新人・研修生指導などのトピックスも収載
- 不全麻痺の方の歩行練習や運動療法の組み立てに悩んでいるPT
- 移乗動作を場面別に詳しく学びたい方
- 後輩指導の参考になる資料を探している方
PT向けの本ですが、移乗動作が生活の場面ごとに分かれている点はOTにも参考になります。トイレや自動車への移乗は、排泄や外出といったADL・IADL(生活関連動作)の自立に直結するためです。PTと同じ用語や手順で話せるようになると、病棟や在宅での動作練習を連携して進めやすくなります。
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交通事故、労働災害、転倒・転落…… 患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ
脊髄損傷になった方とご家族に向けて、社会復帰を目指すためのリハビリについてリハビリテーション科専門医が解説した一般書です。転院先の選び方、病院と施設のリハビリの違い、支援制度など、患者側が知っておきたい基礎知識や社会復帰の事例がまとめられています。
- 家族が脊髄損傷になり、これからのリハビリや転院について知りたい方
- 専門書ではなく、一般向けの言葉で全体の流れを知りたい方
- 患者さんやご家族に紹介できる本を探している医療職の方
- 急性期から回復期、在宅生活へと進む医療の流れを、患者さん・ご家族の立場から理解しやすい
- 転院先の選び方や公的支援制度の活用など、退院前後に直面しやすいテーマを扱っている
- 在宅生活や職場復帰の事例が紹介されており、社会復帰の具体像をイメージしやすい
ご家族の不安には、運動の方法に加えて「この先どこで、どう暮らすのか」という生活の見通しに関するものもあります。この本は医療の流れや制度を一般向けに整理しているため、面談の前に読んでおくと、質問したいことを具体的にしやすくなります。専門職にとっても、患者さん側からどのように見えているかを知る手がかりになります。
- リハビリの手技を学ぶための専門書ではありません
- 医療制度や病院のあり方について著者の見解を含むため、実際の転院先や制度の利用は、主治医や医療ソーシャルワーカーに相談したうえで判断してください
- 2022年の刊行のため、制度の内容は最新の情報を確認してください
作業療法士は脊髄損傷の本をどう臨床に生かす?
脊髄損傷では、損傷高位(脊髄のどの高さが損傷したか)と、完全麻痺か不全麻痺かによって、自立を目指せる動作やADLが大きく変わります。そのため、本の内容をそのまま当てはめるのではなく、目の前の方の残存機能と生活の目標に合わせて読み替えることが大切です。
| 臨床の場面 | 本で確認したいこと | 参考になる本 |
|---|---|---|
| 初回評価・目標設定 | 神経学的評価や分類、予後予測の考え方 | PT・OTアプローチ/リハビリテーションマニュアル |
| 基本動作・移乗の練習 | 寝返り・起き上がり・移乗の進め方、場面別の移乗 | PT・OTアプローチ/理学療法マニュアル |
| ADL練習 | 更衣・排泄・入浴・自動車運転などの具体的な方法 | PT・OTアプローチ/リハビリテーションマニュアル |
| 退院支援 | 住宅改修、福祉機器、社会資源、復職・就労支援 | リハビリテーションマニュアル/理学療法マニュアル |
| ご家族への説明 | 医療の流れ、転院先、支援制度の全体像 | 患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ |
本に書かれた「この損傷高位ならこの動作が自立を目指せる」という目安は、年齢、体格、合併症、意欲、介護環境によって変わることがあります。目安は見通しを立てるための参考にとどめ、実際の目標は本人・ご家族と話し合いながら設定していくことが大切です。迷ったときは、医師や経験のある先輩、多職種のチームで相談しましょう。
- 高位頸髄損傷の呼吸管理や自律神経の症状など、リスク管理が必要な場面は、必ず施設の手順と医師の指示に従ってください
- 移乗や起き上がりの介助方法は、本を読むだけでなく、経験のある指導者のもとで練習してから実施しましょう
- 制度や福祉機器の情報は改正・更新されることがあるため、最新情報もあわせて確認してください
脊髄損傷の本はどう選ぶ?読む順番の目安
4冊すべてをそろえる必要はありません。担当している患者さんや、いま困っている場面に近い本から読み始めるのが現実的です。専門職の方が段階的に学ぶ場合の順番の一例を示します。
- 全体像をつかむ:『脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版』で、急性期から社会復帰までの流れと多職種の役割を確認する
- 時期ごとの介入を整理する:『脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ』で、障害像や時期ごとに基本動作とADLの進め方を学ぶ
- 動作練習を深める:『脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版』で、場面別の移乗や不全麻痺の運動療法を確認する
- 患者さん・ご家族の視点を知る:『患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ』で、医療を受ける側から見た課題や不安を理解する
- 担当している方は完全麻痺か、不全麻痺か
- いま知りたいのは基本動作か、ADLか、退院後の生活か
- 自分の職種(PT・OT・看護師など)に合った内容か
- 通読したいのか、必要な章を辞書のように使いたいのか
- 紙の本と電子版のどちらが使いやすいか
まとめ
脊髄損傷のリハビリは、急性期の動作練習から退院後の生活、社会復帰まで長く続きます。まずは担当している方や自分の役割に近い1冊を選び、臨床で迷った場面を本で確認する習慣をつけていきましょう。
- 全体像と退院後の生活まで学ぶなら『脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版』
- 時期ごとの基本動作とADLを学ぶなら『脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ』
- 移乗・歩行と不全麻痺の運動療法を深めるなら『脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版』
- 患者さん・ご家族が読むなら『患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ』
どの本も、読むだけで技術が身につくものではありません。本で学んだ内容を、適応と安全性を確認しながら臨床に生かし、指導者や多職種と振り返りながら、目の前の方に合った脊髄損傷リハビリにつなげていくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
脊髄損傷リハビリの本は、最初にどれを読めばよいですか?
全体像をつかみたい場合は『脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版』、担当患者さんへの介入をすぐに考えたい場合は『脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ』が始めやすい選択肢です。いま困っている場面に近い本から読むのがおすすめです。
作業療法士と理学療法士で、おすすめの本は違いますか?
OTでADLを時期ごとに学びたい場合は『脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ』、福祉機器や住宅改修、就労支援まで学びたい場合は『脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版』が候補になります。PTで移乗や歩行練習、不全麻痺の運動療法を詳しく学びたい場合は『脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版』が向いています。
患者や家族が読める脊髄損傷の本はありますか?
『患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ』は一般向けに書かれた本で、転院先の選び方や支援制度などを扱っています。実際の転院先や制度の利用は、主治医や医療ソーシャルワーカーに相談したうえで判断してください。
電子版はありますか?
今回の専門書3冊は、医書.jpなどで電子版が販売されています。『患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ』はKindle版があります。販売状況は変わることがあるため、購入前に各販売ページで確認してください。
古い版を持っていますが、買い替えたほうがよいですか?
買い替えは、旧版と改訂版の目次や改訂内容を比較し、いま学びたい項目が追加・更新されているかで判断するとよいでしょう。旧版でも基本的な考え方は参考になりますが、制度や機器、治療に関する情報は最新の資料でも確認してください。
- 医学書院「脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版」書籍紹介ページ https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/93321
- メジカルビュー社「脊髄損傷に対するPT・OTアプローチ」書籍紹介ページ https://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN978-4-7583-2084-9.html
- 文光堂「脊髄損傷理学療法マニュアル 第3版」書籍紹介ページ https://www.bunkodo.co.jp/book/5S80D37BT8.html
- 幻冬舎メディアコンサルティング『患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ』発売のお知らせ(2022年3月22日) https://www.dreamnews.jp/press/0000255231
本記事は書籍選びの参考情報であり、診断や治療の代替ではありません。





