【作業療法士が解説】高次脳機能障害のおすすめ本6選|リハ職向け専門書と当事者・家族向けの本
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高次脳機能障害の本は、リハビリ職向けの専門書から、家族向けの解説書、当事者の手記まで種類が多く、どれを選べばよいか迷いやすい分野です。この記事では、作業療法士の視点で高次脳機能障害のおすすめ本6冊を「専門職向け」と「当事者・家族向け」に分け、それぞれの特徴と向いている読み方を紹介します。「専門職はどの本から読む?」「家族が読みやすい本は?」「本人の気持ちがわかる本は?」と迷っている方は参考にしてください。
この記事を書いた人:Home Reha 福岡|作業療法士
高次脳機能障害のおすすめ本6冊を目的別に比較
まずは6冊の違いを一覧で確認しましょう。高次脳機能障害の本は「誰が読むか」と「何を知りたいか」で選ぶのが基本です。
| 書名 | 主な読者 | 内容の中心 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 高次脳機能障害学 第3版 | リハ職・学生 | 症状・評価・メカニズムの体系的な解説 | 症状と検査の基礎を固めたい |
| 高次脳機能障害のリハビリテーション[DVD付]第3版 | リハ職 | 生活場面での症状の現れ方、就労・運転・制度 | 評価を生活支援や社会復帰につなげたい |
| 高次脳機能障害の病態・ケア・リハがトータルにわかる | 看護師・多職種 | 入院中から退院後までのケアと支援制度 | 病棟・外来・地域でチームの共通理解をつくりたい |
| 高次脳機能障害のリハビリがわかる本 | 家族・本人 | イラストで解説する後遺症とリハビリのコツ | 最初の1冊として全体像をつかみたい |
| 壊れた脳 生存する知 | 家族・本人・支援者 | 医師である著者の当事者手記 | 本人から見た世界を知りたい |
| 脳が壊れた | 家族・本人・支援者 | ルポライターが自身を取材した闘病記 | 見えにくい障害の困りごとを具体的に知りたい |
| 書名 | 著者・編者 | 出版社 | 判型・ページ数 | 刊行 |
|---|---|---|---|---|
| 高次脳機能障害学 第3版 | 石合純夫 著 | 医歯薬出版 | B5判・320頁 | 2022年2月 |
| 高次脳機能障害のリハビリテーション[DVD付]第3版 | 本田哲三 編 | 医学書院 | B5判・336頁 | 2016年6月 |
| 高次脳機能障害の病態・ケア・リハがトータルにわかる | 浜松市リハビリテーション病院 高次脳機能センター 編著 | 照林社 | B5判・176頁 | 2021年10月 |
| 高次脳機能障害のリハビリがわかる本 | 橋本圭司 監修 | 講談社 | 102頁 | 2012年3月 |
| 壊れた脳 生存する知 | 山田規畝子 著 | KADOKAWA(角川ソフィア文庫) | 文庫判・320頁 | 2009年11月(文庫版) |
| 脳が壊れた | 鈴木大介 著 | 新潮社(新潮新書) | 新書判・240頁 | 2016年6月 |
※判型・ページ数・刊行年月は各出版社の書籍紹介ページの表記にもとづきます。価格は変わることがあるため、各販売ページで確認してください。
専門職が症状や評価を体系的に学ぶなら『高次脳機能障害学』、生活場面での対応から学びたいなら『高次脳機能障害のリハビリテーション』、病棟でのケアや退院支援を整理したいなら『病態・ケア・リハがトータルにわかる』が候補になります。最初からすべてを読む必要はなく、担当している患者さんの困りごとや、自分の学習目的に合う1冊から始めるとよいでしょう。
家族は、まず読みやすい解説書から始めて構いません。『高次脳機能障害のリハビリがわかる本』で全体像をつかみ、興味のある手記で当事者の感じ方に触れると、理解を深める手がかりになります。専門職にとっても、手記は検査の点数には表れにくい困りごとに目を向けるきっかけになると考えています。
- 高次脳機能障害の患者さんを担当し始めたリハビリ職・看護師
- 症状や評価を学び直したい作業療法士・理学療法士・言語聴覚士
- 家族が脳卒中や頭部外傷のあと「人が変わったよう」に感じている
- 見た目ではわかりにくい障害を、周りにどう説明すればよいか悩んでいる
- 本人がどんなふうに感じているのかを知りたい
リハビリ職・看護師など専門職向けの本3冊
ここでは、臨床で高次脳機能障害に関わるリハビリ職や看護師に向けた3冊を紹介します。症状と評価を体系的に扱う本、生活場面や社会復帰に焦点を当てた本、多職種のケアをまとめた本と、それぞれ役割が異なります。
高次脳機能障害学 第3版
失語、失行、失認、半側空間無視、注意・記憶・遂行機能の障害、認知症や外傷性脳損傷による障害までを、章ごとに整理した教科書です。第3版では図表も充実させています。
- 基礎知識から主要な症候まで、全7章で体系的に扱っている
- 第3版への改訂時に、診断基準や検査・評価法、関連する知見を更新
- 初学者から臨床家までを対象とした内容
ADLの困りごとを「どの症状から来ているのか」と考えるには、症状の整理が土台になります。たとえば着替えでつまずく場面でも、失行なのか、注意の問題なのか、空間認知の問題なのかで関わり方は変わります。症状ごとに体系立てて学びたい方の候補になる1冊です。最初から通読するほか、担当患者さんの症状に関連する章から読み進める方法もあります。
- 専門用語が多く、家族が最初に読む本としては難しめ
- 高次脳機能障害の症状と評価を基礎から整理したい
- 国家試験後に臨床で学び直したいリハビリ職
- 症状ごとに調べられる本を手元に置いておきたい
※リンク先の商品の状態(新品・中古)、書籍の版、付属品、送料を確認してから購入してください。
高次脳機能障害のリハビリテーション[DVD付]第3版 実践的アプローチ
当事者の日々の暮らしを重視した入門書の改訂版です。各障害について、日常生活や診療場面での現れ方、診断のポイント、リハビリの方法、日常生活への援助という流れで構成されています。第3版では脳画像所見、若年の脳損傷者へのリハビリ、自動車運転の章が新設され、症状の現れ方を示すDVD動画と、患者さん・家族への説明用パンフレットの見本も収載されています。
高次脳機能障害のリハビリは、検査の点数を上げること自体が目的ではなく、生活のどの場面で困りごとが出ているかを見て、援助や環境調整につなげることが大切だと考えています。症状ごとに「日常生活での現れ方」と「日常生活への援助」が整理されており、評価を生活支援につなげる考え方を学ぶうえで参考になる構成です。
- 症状ごとに、生活場面での現れ方から援助までを一貫して扱う構成
- 症状の現れ方を学べるDVD付き。購入時は付属品の有無を確認する
- 就労、自動車運転、社会制度など社会復帰に関わる章がある
- 家族への説明用パンフレットの見本を収載
- 評価結果を生活支援にどうつなげるかを学びたい
- 復職や運転再開の相談に関わるリハビリ職
- 家族への説明の仕方に悩んでいる
- 2016年の刊行のため、社会制度や自動車運転に関する部分は最新の情報と照らし合わせて確認する
- DVDを見るには再生できる機器が必要
※楽天のリンク先は中古品です。DVDが付属しているかは販売ページで確認してください。
高次脳機能障害の病態・ケア・リハがトータルにわかる
医師、看護師、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士などの多職種の実践をまとめた1冊です。病態の基礎から、入院中のケアとリハビリ、退院後の支援、利用できる制度や地域の支援ネットワークまでを4つのパートで扱い、症状別の対応をまとめた早見カードも資料として収載されています。
- 病棟や外来で高次脳機能障害の患者さんに関わる看護師
- チーム内で症状への対応をそろえたいリハビリ職
- 退院後の生活や制度の流れを知っておきたい
- 入院中から退院後、地域生活までの流れに沿った構成
- 症状別のケアとリハビリに加え、家族へのケアも扱っている
- 支援制度や利用できるサービスにも触れている
- 症状別の対応をまとめた早見カードを資料として収載
- 看護・多職種向けの構成のため、神経心理学的検査の手順を詳しく学びたい場合は専門書との併用が候補になる
- 制度やサービスの内容は地域や時期で変わるため、実際の利用は窓口で確認する
高次脳機能障害の支援では、職種ごとに声かけや対応がばらばらだと、本人が混乱しやすくなることがあります。多職種の視点をまとめたこの本は、チームで対応を話し合う際の参考資料として検討できます。入院中の対応だけでなく、退院後の生活支援まで学びたい方にも向いています。
当事者・家族におすすめの本3冊
高次脳機能障害は外見からわかりにくく、本人も家族も「何が起きているのか」をつかみにくい障害です。ここでは、家族や本人に向けた解説書1冊と、当事者が自身の体験を書いた手記2冊を紹介します。
高次脳機能障害のリハビリがわかる本(健康ライブラリー イラスト版)
忘れっぽい、やる気が出ない、怒りっぽい、疲れやすいといった、脳損傷のあとに見られる後遺症をイラストで解説した本です。記憶障害のリハビリでいきなり漢字や計算のドリルに取り組んでもうまくいきにくいことにふれ、リハビリのコツや注意点を解説しています。
- イラスト中心の構成で、専門知識がない方に向けた内容
- 家族が気づきやすい変化から後遺症を説明している
- 家庭でのサポートやリハビリの注意点にふれている
- Kindle版もある
- 2012年の刊行のため、制度やサービスの情報は最新のものを確認する
- コンパクトな分、個々の症状への詳しい対応は担当のリハビリ職と相談しながら進める
家族が「わざとやっている」「性格が変わった」と受け止めてしまう行動の中には、後遺症として説明できるものがあります。変化を障害として理解できると、責めるのではなく「どう手伝えば生活しやすくなるか」を一緒に考えやすくなります。この本は、その入り口となる1冊を探している家族の候補になります。
- 家族が高次脳機能障害と診断され、何から知ればよいかわからない
- 文字ばかりの本は読みにくいと感じる
- 家庭でのサポートの考え方を知りたい
壊れた脳 生存する知(角川ソフィア文庫)
外科医だった著者が、3度の脳出血のあとに高次脳機能障害を抱えた経験をつづった手記です。脳出血後に自分の脳が見ている世界を、当事者としての実感と医師としての分析の両方から描いている点が特徴です。文庫版のほか単行本やKindle版もあり、漫画化もされています。
- 本人が日常のどんな場面で戸惑っているのかを知りたい家族
- 同じ障害をもつ人の体験を読みたい当事者
- 検査ではわかりにくい本人の感じ方を学びたい支援者
本人の困りごとは、外から見ているだけではわかりにくいことがあります。当事者の手記は、症状が生活の中でどう感じられているのかを本人の言葉で知る手がかりになります。家族にとっては本人の行動の背景を想像する材料に、支援者にとっては関わり方を見直すきっかけになりうると考えています。
- 手記であり、リハビリの方法を体系的に解説する本ではない
- 症状の現れ方や回復の経過は人によって異なるため、著者の経験がそのまま当てはまるとは限らない
- 医師としての知識と当事者としての体験をあわせて読める
- 文庫版で手に取りやすい
- 漫画版もあり、文章で読むのが負担な場合の選択肢になる
脳が壊れた(新潮新書)
ルポライターの著者が41歳で脳梗塞を発症し、高次脳機能障害を抱えた経験を、自分自身を取材するかたちでつづった闘病記です。見た目は回復しているのに外からは見えない不自由さが次々に起こる様子を、ユーモアを交えて描いています。続編に『脳は回復する』があります。
- 著者自身は軽度の高次脳機能障害と述べており、障害の程度によって困りごとは大きく異なる
- 闘病記のため、リハビリの方法や制度の解説を目的とした本ではない
- 「見た目は普通なのにうまくいかない」体験を当事者の視点でつづっている
- ユーモアを交えた語り口
- 新書判で、電子書籍版もある
- 家族が「見た目は元気なのに何かが違う」と感じている
- 職場や周囲に、見えにくい障害をどう伝えるか考えたい
- ユーモアを交えた体験記を読みたい
軽度の高次脳機能障害は、周囲から「元気そう」「怠けている」と誤解されやすい面があります。本人の内側で何が起きているのかを知ることは、その誤解をほどく手がかりになります。家族や職場の人が困りごとを理解できると、休憩の取り方や仕事量の調整など、生活の中での工夫を話し合いやすくなると考えています。
作業療法士が考える本の使い分けと読む順番
6冊はそれぞれ役割が違うため、目的に合わせて組み合わせると理解を深めやすくなります。以下は読む順番の一例です。初めて学ぶ場合は、生活場面やケアを扱う本から入り、わからない症状を専門書で調べる方法もあります。
STEP1 『高次脳機能障害学』で、主な症状と評価の考え方を整理する
▼
STEP2 『高次脳機能障害のリハビリテーション』で、症状が生活場面にどう現れ、どう援助するかを学ぶ
▼
STEP3 『病態・ケア・リハがトータルにわかる』で、多職種での関わりと退院後の支援を見通す
▼
STEP4 手記2冊で、本人の感じ方や見えにくい困りごとを知る
STEP1 『高次脳機能障害のリハビリがわかる本』で、後遺症の全体像をつかむ
▼
STEP2 『壊れた脳 生存する知』『脳が壊れた』で、本人から見た世界を知る
▼
STEP3 気になった症状や対応を、主治医や担当のリハビリ職に相談する
専門書で「何が起きているか」を、手記で「本人にはどう感じられているか」を知ると、生活場面での声かけや環境調整を考える材料が増えます。どちらか一方に偏らないことが、支援の質につながると考えています。
高次脳機能障害の本はどう選ぶ?3つのポイント
①誰が読むかで選ぶ
同じ高次脳機能障害の本でも、専門職向けと家族向けでは書き方が大きく異なります。専門職は学習目的や担当している患者さんの困りごとに合う本、家族はイラストや具体例が多い本から始めると、無理なく読み進めやすいでしょう。
②知りたいことで選ぶ
症状や評価を学びたいのか、生活での対応を知りたいのか、本人の体験を理解したいのかで、選ぶ本は変わります。冒頭の比較表を参考に、いまの疑問に合う1冊を選びましょう。専門書と手記は役割が異なるため、必要に応じて組み合わせるのも一つの方法です。
③刊行年と版を確認する
紹介している本は、それぞれ刊行時点の情報にもとづいて書かれています。医学的な知見や支援制度は年月とともに変わることがあるため、とくに制度やサービス、自動車運転などの情報は、本の内容だけで判断せず、自治体の窓口や高次脳機能障害の支援拠点機関などで最新の情報を確認しましょう。
高次脳機能障害では疲れやすさが見られることがあり、長い文章を一度に読むと負担になる場合があります。短い時間で区切る、気になる章だけ読むなど、無理のない読み方を選びましょう。
まとめ
高次脳機能障害は外から見えにくく、本人も家族も、支援する側も戸惑いやすい障害です。目的に合った本で知識を整理しておくと、困りごとに気づき、支援を考えるきっかけになります。まずは「誰が読むか」「何を知りたいか」を決めて、1冊を手に取ってみてください。
- 専門職は、症状・評価、生活場面での対応、病棟でのケアや退院支援のうち、いまの学習目的に合う1冊から始める
- 家族は、まず読みやすい解説書で全体像をつかみ、手記で本人の感じ方を知る
- 制度や運転などの情報は、本だけでなく最新の情報で確認する
本で得た知識は、あくまで理解の入り口です。気になる変化があるときは、「性格だから」「年齢のせい」と決めつけず、主治医やリハビリ職などの専門職に相談しながら、高次脳機能障害の本を生活に合った支援を考えるヒントとして活用してください。
よくある質問
高次脳機能障害の本は、最初にどれを読めばよいですか?
専門職の場合は、学習目的に合わせて選ぶのがおすすめです。症状や評価を体系的に学ぶなら『高次脳機能障害学 第3版』、生活場面での対応から学ぶなら『高次脳機能障害のリハビリテーション[DVD付]第3版』、病棟でのケアや退院支援を整理するなら『高次脳機能障害の病態・ケア・リハがトータルにわかる』が候補になります。家族の場合は、イラストで全体像をつかめる『高次脳機能障害のリハビリがわかる本』から始めるとよいでしょう。
家族が読むなら、専門書も読んだほうがよいですか?
家族は、まず読みやすい解説書から始めて構いません。家族向けの解説書と手記で、症状の全体像と本人の感じ方を知るだけでも、関わり方を考えるヒントになります。個々の症状への具体的な対応は、主治医や担当のリハビリ職などの専門職と一緒に考えるとよいでしょう。
本人が手記を読んでも大丈夫ですか?
同じ障害をもつ人の体験は、共感や安心につながることがあります。一方で、症状の現れ方や回復の経過は人によって異なるため、著者と自分を比べすぎないことが大切です。疲れやすさがある場合は短い時間で区切り、気持ちがつらくなったときは休んで、身近な人や専門職に相談してください。
刊行年が古い本でも参考になりますか?
症状の理解や関わり方の基本的な考え方は、刊行年が古い本でも参考になる部分があります。ただし、各書籍の内容は刊行時点の情報にもとづいており、支援制度やサービス、自動車運転に関する情報は変わることがあるため、自治体の窓口や支援拠点機関などで最新の情報を確認してください。
本を読めば、自宅でリハビリを進められますか?
本は症状や関わり方を理解する参考になりますが、どのリハビリが合うかは、症状の種類や程度、生活の状況によって異なります。自己流で進める前に、主治医や作業療法士などの専門職による評価を受け、助言をもとに取り組むことをおすすめします。
- 医歯薬出版「高次脳機能障害学 第3版」書籍紹介ページ https://www.ishiyaku.co.jp/search/details?bookcode=266510
- 医学書院「高次脳機能障害のリハビリテーション[DVD付]第3版」書籍紹介ページ https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/87635
- 照林社「高次脳機能障害の病態・ケア・リハがトータルにわかる」書籍紹介ページ https://www.shorinsha.co.jp/book/b10012308.html
- 講談社「高次脳機能障害のリハビリがわかる本」書籍紹介ページ https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000196168
- KADOKAWA「壊れた脳 生存する知」書籍紹介ページ https://www.kadokawa.co.jp/product/200906000033/
- 新潮社「脳が壊れた」書籍紹介ページ https://www.shinchosha.co.jp/book/610673/
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