【OT監修】介護用手すりのおすすめ6選|設置場所別の選び方を作業療法士が解説
「手すりを付けたいけれど、どの種類を選べばよいかわからない」「壁に穴を開ける工事が必要なのか不安」と悩む方は少なくありません。
本記事では、訪問型の自費リハビリを運営する現役作業療法士が、玄関・トイレ・浴室・ベッド周囲・廊下など、設置場所別に選びやすい手すり6製品を紹介します。工事不要タイプとの違いや、介護保険を利用する際のポイントも解説します。
📋 目次
介護用手すりの選び方|OTが重視する4つのポイント
手すり選びで最も大切なのは、「見た目」でも「価格」でもなく、使う人の動作パターンに合っているかです。リハビリ現場で数多くの事例を見てきた経験から、以下の4点を必ず確認してください。
① 握りやすい太さ・形状か
手すりの標準的な握り径は28〜35mmです。握力が低下した高齢者には細め(28〜32mm)、前腕支持が必要な場合は扁平型のパームグリップ型が適しています。丸型・楕円型・形状可変型から用途に合わせて選びましょう。
脳卒中後の片麻痺患者では、麻痺側と非麻痺側で把持力が大きく異なります。非麻痺側の手で確実に握れるかを優先してください。太すぎると開口不全で把持できないケースがあります。
② 壁からの距離(出幅)
壁固定型手すりでは、壁面と手すりの間に指を入れられる空間が必要です。一般的には壁から手すり内側まで40mm以上、手すり中心までの出幅として75〜85mm程度の製品が多く使用されています。
壁との間隔が狭すぎると指や衣服を挟みやすくなり、出幅が大きすぎると廊下の有効幅を狭めたり、身体が壁から離れすぎたりする場合があります。設置場所の広さと動作を確認して選びましょう。
③ 設置高さ
一般的な目安は床から75〜85cmですが、身長や動作目的によって変わります。
| 設置場所 | 一般的な設置目安 | 目的 |
|---|---|---|
| 廊下・移動用 | 床から75〜85cm | 歩行補助・バランス保持 |
| トイレ(立ち座り) | 便座から上方20〜25cm | 立ち座り動作補助 |
| 浴室(浴槽出入り) | 浴槽縁から上方20〜30cm | 入浴動作補助 |
| 玄関(段差) | 段差面から75〜80cm | 昇降動作補助 |
| 階段 | 踏み面から75〜85cm | 昇降バランス |
※上記は一般的な目安です。実際の設置位置は、利用者が普段使用する椅子・便器・浴槽・履物などを使い、実際の動作を確認したうえで決定してください。
④ 素材・固定方法・使用条件
耐荷重は製品ごとに異なるため、利用者の体重を上回っているだけでなく、立ち上がりや段差昇降など、予定している動作に対応しているかを確認してください。壁固定型では、手すり本体の強度だけでなく、壁下地や固定金具・施工方法が安全性を左右します。浴室や屋外では耐水性・防錆性・滑りにくさも確認しましょう。素材はステンレス・アルミ・樹脂コーティング付きスチールが主流です。
壁固定・据え置き・吸盤式|手すりの種類と違い
| 種類 | 特徴 | 主な用途 | 介護保険 |
|---|---|---|---|
| 壁・床固定型 | 壁下地や床に固定して使用する | 歩行・立ち座り・段差昇降 | 住宅改修の対象になり得る ※事前申請・適切な施工が必要 |
| 据え置き・突っ張り型 | 住宅に穴を開けずに設置できる | 立ち上がり・移乗・玄関段差 | 住宅改修は対象外 ※対象製品は福祉用具貸与を利用できる場合あり |
| 吸盤式補助グリップ | 滑らかな壁面に吸着させる | 手を添える程度の軽いバランス補助 | 原則として対象外 |
工事不要タイプには、自立型・床天井突っ張り型・便器周囲型・浴槽固定型・吸盤式などがあり、安全性や使用目的は大きく異なります。
介護用に設計された自立型・突っ張り型の中には、立ち上がりや移乗を支える目的で使用できる製品もあります。一方、吸盤式や簡易固定式は体重を預ける用途には適しません。
「工事不要かどうか」だけではなく、メーカーが定める使用目的・設置条件・耐荷重・固定方法を確認して選びましょう。
壁・床固定型を賃貸住宅へ設置する場合は、大家・管理会社の許可や原状回復の確認が必要です。工事前に必ず確認してください。
設置場所別おすすめ手すり6選
本記事では、設置場所への適合性・固定方法・調節機能・安全確認のしやすさ・導入のしやすさを基準に製品を選定しています。Amazon上の売上順位やレビュー数だけで順位を決めたものではありません。
以下では、設置場所や使用目的に合わせて選びやすい介護用手すりを紹介します。価格・在庫・配送予定・仕様は変更される場合があるため、購入前にAmazonの商品ページとメーカー公式情報をご確認ください。
矢崎化工 たちあっぷ あがりかまち用手すり(ステップ台付タイプ)
玄関の上がり框(かまち)段差専用に設計された据え置き型手すり。ステップ台と手すりが一体化しているため、踏み台と手すりを別々に用意する必要がない。住宅への固定工事を行わずに設置できるため、壁や床に穴を開けたくない家庭でも導入しやすい製品です。購入前に、Amazonの商品ページやメーカー公式情報で型番・付属品・対応する框の高さ・左右の取り付け方向をご確認ください。
- ステップ台一体型で設置がシンプル
- 工事不要・賃貸でも使用可
- 玄関段差の昇降時に支持物を確保できる
- ほかの簡易型手すりと比べて価格帯が高め
- 段差形状によっては適合確認が必要
玄関では、段差昇降だけでなく、靴の着脱時に片足立ちや前かがみになることでバランスを崩しやすくなります。手すりとステップ台が一体になったタイプは、それぞれを別に設置する場合と比べて位置関係を調整しやすいのが利点です。
アロン化成 安寿 高さ調節付浴槽手すり UST-130(ブルー)
アロン化成の「安寿」は、入浴用品や排泄用品などを展開する介護用品ブランドです。UST-130は浴槽のふちに固定し、浴槽への出入りや浴槽内での姿勢保持を補助する製品です。工事不要で設置でき、高さを調節できるため、利用者の体格に合わせやすいのが特徴です。
メーカー公式では、介護保険の特定福祉用具購入対象品として案内されています。ただし、Amazonからの直接購入が介護保険給付の対象になるとは限りません。介護保険を利用する場合は、事前にケアマネジャーや指定福祉用具販売事業者へ相談してください。また、浴槽の形状・素材が製品に適合するか、メーカー公式情報で確認しましょう。
- 壁への固定工事をせずに設置できる
- 高さ5段階調節で体格に合わせやすい
- 安寿ブランドの信頼性・耐久性
- 浴槽の素材・形状によって適合確認が必要
- 最大使用者体重は80kgのため、使用者の体重確認が必要
浴槽手すりは、浴槽をまたぐ際の支持だけでなく、浴槽内での立ち座りや姿勢保持にも活用できます。設置する位置によって動作のしやすさが変わるため、実際のまたぎ方向や使用する手を確認して位置を決めることが重要です。
GENERUN トイレ用手すり 立ち座り補助 高さ調節 置くだけ設置(シルバーグレー)
便器周囲に置いて使用する自立型のトイレ用手すりです。壁への穴開けが不要で、高さを調節できるため、利用者の体格や便座の高さに合わせやすいのが特徴です。アルミニウム製で、移動や設置を行いやすい設計です。ただし、便器の形状やトイレ内の広さによっては設置できない場合があります。購入前に製品寸法・便器との適合・最大使用者体重を確認してください。
- 壁への固定工事をせずに導入できる
- 高さを利用者の体格に合わせて調節できる
- 比較的導入しやすい価格帯
- 体重の重い方は製品仕様の確認が必要
- トイレ床が狭い場合は設置スペース要確認
トイレの立ち座りは、重心を前方へ移動させながら身体を持ち上げる必要があり、バランスを崩しやすい動作です。据え置き型は壁への工事が難しい住宅でも導入しやすい一方、製品によって安定性や使用条件が異なります。
なお、Amazonで購入する本製品が介護保険の貸与対象になるとは限りません。介護保険を利用したい場合は、福祉用具貸与の対象製品をケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談してください。
AILI 強力吸盤式補助グリップ 浴室・トイレ・玄関用グラブバー(グレー)
壁に穴を開けずに取り付けられる吸盤式の補助グリップです。浴室やトイレなどの、滑らかで平坦な壁面への設置を想定しています。立位姿勢で手を添える・身体の向きを確認するなどの軽いバランス補助に使用します。工事不要で賃貸でも設置できます。取り付け可能な壁面・使用方法・耐荷重・吸着状態は製品説明書で必ず確認してください。
- 壁を傷つけず設置・取り外し自由
- 浴室・洗面所・トイレなどで使いやすい
- 賃貸住宅や工事前のつなぎとして有用
- 凹凸のある壁面・タイル目地には不向き
- 定期的な吸着力の確認が必要
- 固定式手すりの代用としては使用不可
吸盤式製品は、壁に手を添える程度の軽いバランス補助を目的とした製品です。立ち上がり・浴槽のまたぎ・段差昇降などで体重を預けたり、強く引っ張ったりしないでください。
吸着状態は、壁面の材質・凹凸・タイル目地・水分・石けん汚れなどの影響を受けます。使用前に毎回固定状態を確認し、転倒リスクが高い方には壁固定式や浴槽固定式の手すりを検討してください。
楽々健 床置き式手すり 4段 ホワイト(福祉用具専門相談員 開発監修・天然木)
床に置いて使用する自立型手すりです。高さ74・76・78・80cmの4段階で調節でき、利用者の体格や立ち上がり動作に合わせて設定できます。天然木を使用しているため、寝室やリビングにもなじみやすいデザインです。蓄光機能付きで、夜間の視認性にも配慮されています。
購入前に、最大使用者体重、対応する床面、製品寸法を確認してください。
- 工事不要で設置場所を変更しやすい
- 4段階高さ調節で体格に合わせやすい
- 天然木でインテリアに馴染む
- 蓄光機能で夜間の安全性を補助
- カーペットや畳では安定性の確認が必要
- 設置スペースを確保する必要がある
ベッドから立ち上がる際には、手すりを押したり引いたりしながら体重を支えます。床置き式は力の方向によって浮きや滑りが生じる可能性があるため、実際の立ち上がり動作で安定しているか確認することが重要です。
ハイロジック TQOOL 木製手すり 廊下・室内用 タテ・ヨコ兼用 800mm 32パイ(97255)
木製で室内の雰囲気になじみやすい、縦・横兼用の壁固定型手すりです。玄関付近では縦手すり、廊下では横手すりとして設置するなど、動作に合わせて取り付け方向を選べます。安全に使用するには、壁下地の位置と強度を確認したうえで、製品指定の金具・施工方法に従って取り付ける必要があります。
- 木製でインテリアに馴染む
- タテ・ヨコ兼用で設置場所を選ばない
- 手ごろな価格帯
- 壁固定のため下地確認・工事が必要
- 800mmのため長尺が必要な廊下は複数設置
廊下の手すりは「使う場面」に合わせて縦付け・横付けを使い分けるのが理想です。この製品は兼用設計なので、設置前に動線を確認してから方向を決めることができます。
介護保険で手すりを設置・利用できる?
介護用手すりには、主に住宅改修・福祉用具貸与・特定福祉用具購入という3つの利用方法があります。手すりの種類によって利用できる制度が異なるため、購入や工事の前に確認しておきましょう。
| 制度 | 主な対象 | ポイント |
|---|---|---|
| 住宅改修 | 壁や床などに固定する手すり | 支給限度基準額は原則20万円。着工前の事前申請が必要 |
| 福祉用具貸与 | 据え置き型・突っ張り型などの手すり | 対象製品であればレンタル費用の1〜3割負担で利用できる場合がある |
| 特定福祉用具購入 | 対象となる入浴補助用具など | 指定事業者からの購入など、給付を受けるための条件がある |
住宅改修の支給額
介護保険の住宅改修では、要支援・要介護区分にかかわらず、原則として20万円を支給限度基準額として、その7〜9割が支給されます。1割負担の方が20万円分の対象工事を行った場合、保険給付は最大18万円、自己負担は2万円です。20万円を超えた部分は全額自己負担になります。
住宅改修は、原則として工事を始める前に市区町村への申請が必要です。先に工事を行うと、住宅改修費が支給されない可能性があります。
手すりの取り付けを検討したら、最初にケアマネジャーまたは地域包括支援センターへ相談してください。
住宅改修申請の一般的な流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① | ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談する |
| ② | 本人の動作と住環境を評価し、設置場所・高さ・種類を検討する |
| ③ | 施工業者から見積書や工事前写真などを用意してもらう |
| ④ | 住宅改修が必要な理由書などを添えて市区町村へ事前申請する |
| ⑤ | 市区町村への事前申請手続き後、自治体の案内に従って工事を行う |
| ⑥ | 工事後の写真・領収書などを提出し、住宅改修費の支給を受ける |
申請方法や必要書類、受領委任払いの可否などは自治体によって異なります。必ず居住する市区町村の窓口で最新情報をご確認ください。
よくある失敗3選とOTのアドバイス
失敗① 「とりあえず安いもの」を選び、使わなくなる
手すりは、使用する動作や設置場所に合っていなければ、取り付けても使われなくなることがあります。実際に、玄関へ設置したものの、立つ位置や握る方向が動作に合わず、手すりとして活用されていないケースもあります。購入前に、どの動作のどの場面で使用するのかを確認することが重要です。
失敗② 壁の下地を確認せずに取り付ける
石膏ボード壁へ下地を確認せずに取り付けると、体重をかけた際に固定部分が外れ、転倒につながるおそれがあります。壁内の柱や間柱を確認し、製品の施工説明書に従って固定してください。下地がない場合は、下地補強や専用の補強部材が必要になることがあります。
失敗③ 高さを感覚で決める
「だいたいこのくらい」で設置すると使いにくく、かえって不自然な姿勢を強いることになります。必ず実際の動作(立ち座り・昇降)を行いながら適切な高さを確認してから取り付け位置を決めてください。可能であれば作業療法士・理学療法士に評価を依頼することを推奨します。
手すりの設置場所・高さ・種類の選定に迷っている方は、訪問型の自費リハビリによる住環境評価をご利用ください。作業療法士が自宅を訪問し、ご本人の身体機能や実際の動作、住宅環境に合わせて手すりの設置方法をご提案します。
→ 訪問による住環境評価について相談する
まとめ比較表|設置場所別おすすめ手すり6選
| 設置場所 | 製品名 | 工事 | 価格 | 介護保険の可能性 |
|---|---|---|---|---|
| 玄関段差 | 矢崎化工 たちあっぷ あがりかまち用手すり | 不要 | Amazonで確認 | 住宅改修対象外 ※福祉用具貸与の対象かはケアマネジャー等へ要確認 |
| 浴槽出入り | アロン化成 安寿 UST-130 | 不要 | Amazonで確認 | 特定福祉用具購入の対象製品 ※Amazon購入ではなく指定事業者等への事前確認が必要 |
| トイレ立ち座り | GENERUN トイレ用手すり | 不要 | Amazonで確認 | Amazonでの直接購入は原則自己負担 ※類似する貸与対象製品は福祉用具事業者へ相談 |
| 浴室・トイレ壁面 | AILI 強力吸盤式補助グリップ | 不要 | Amazonで確認 | 原則対象外 |
| ベッドサイド・リビング | 楽々健 床置き式手すり 4段 | 不要 | Amazonで確認 | 住宅改修対象外 ※福祉用具貸与の対象かはケアマネジャー等へ要確認 |
| 廊下・室内壁面 | ハイロジック TQOOL 木製手すり | あり | Amazonで確認 | 住宅改修対象になり得る ※事前申請・適切な施工が必要 |
※価格・在庫・レビュー数は変動します。最新情報は各商品ページをご確認ください。介護保険の適用可否は、製品・購入方法・自治体の運用によって異なります。必ずケアマネジャー・福祉用具専門相談員・市区町村窓口へご確認ください。
手すりは一度取り付けたら長期間使うものです。「安いから」「今すぐ届くから」で選ぶのではなく、設置場所・身体機能・動作・住宅環境の4点を整理してから選びましょう。選定に迷う場合は、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・作業療法士・理学療法士などへ相談し、実際の動作を確認してもらうことをおすすめします。
無料相談受付中
✔ 手すりをどこにつければいいかわからない
✔ 工事不要タイプで十分か知りたい
✔ 転倒予防のために家を評価してほしい
Home Reha福岡では作業療法士による住環境評価を行っています。
投稿者プロフィール
最新の投稿
お知らせ2026-09-22【作業療法士が解説】コース立方体組み合わせテスト(Kohs)とは?評価方法・見方・臨床での解釈
お知らせ2026-09-20【作業療法士が厳選】片手で使える便利グッズ|片麻痺の生活を助けるおすすめアイテム
お知らせ2026-09-17高次脳機能障害の復職支援|「復職できる」と「仕事を続けられる」は違う
お知らせ2026-09-16【セラピスト向け】肩関節屈曲のROM制限|制限因子と評価のポイント



