FIM「理解・表出」の採点、自信を持って答えられますか?現場OTが徹底解説

リハビリ職として日常的にFIMを使っているのに、「理解と表出の採点、なんとなくで決めてしまっている」と感じることはないでしょうか。

セルフケアや移乗の項目は介助量を%で考えやすいのですが、コミュニケーション領域の「理解(Item 14)」と「表出(Item 15)」はどこか曖昧になりがちです。

「発話がないから理解も悪い」「よくしゃべるから理解は問題ない」という思い込みで採点してしまうと、大きな誤りにつながります。

この記事では、理解と表出の採点基準と、現場でよく迷うポイントを整理します。

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まず絶対に押さえておくこと:理解と表出は完全に独立している

採点の前に、これだけは頭に刻んでおいてください。

理解(Item 14)と表出(Item 15)は、完全に独立して採点します。

どういうことかというと、「発話できないから理解も悪い」という判断は誤りで、「流暢に話しているから理解も良い」という判断も誤りになりうる、ということです。

たとえば重度の運動性失語症では、ブローカ野の損傷によって発話が困難になります。でも言語理解を担うウェルニッケ野は保たれている場合が多い。こういう患者さんは理解 7点・表出 1〜2点という組み合わせになります。

反対に感覚性失語症では、言葉はよく出てくるのに内容がまとまらず、聞き手には意味が伝わらない、さらに自分自身も相手の話をあまり理解できていない、という状態になります。表出の流暢さに引きずられて理解を高く採点してしまわないよう注意が必要です。


「理解」の採点:聴こえているかではなく、内容を把握できているか

採点の基準は「音声・文字の良い方」

理解の採点でまず確認することは、音声言語(聴く)と文字言語(読む)のどちらで評価するか、です。答えは「より理解度が高い方」を使います。

聴覚障害のある患者さんが、音声はほとんど聞き取れなくても文字を読めば指示を完全に理解できるなら、その人の理解は高く採点します。使っている手段の問題ではなく、理解の達成度が採点の軸です。

7段階の目安

上の図を見てもらうと各点数の詳細がわかりますが、大まかには次のように整理できます。

7点(完全自立) は、複雑な会話・抽象的な内容・ユーモアまで含めてすべて理解できる状態です。補助具なし・介助者の特別な配慮なしで、ほぼ100%の理解を達成できています。

6点(修正自立) は、補聴器・AAC(コミュニケーション補助器)・文字板・筆談などを自己管理して使用し、十分な理解を達成できている状態です。補助具を使っていても、自分でそれを管理して介助者の特別な配慮なしに理解できていれば6点です。

5点(監視・準備) は、日常的な会話・基本的な指示は理解できますが、複雑な内容では繰り返しや言い換えが必要になることがある状態です。ポイントは「その手がかりが全体の25%以内に収まっているか」です。25%以下なら5点、それ以上なら4点以下を検討します。

4点(最小介助) は、単純な指示やルーティンの会話は理解できますが、2段階以上の指示や抽象的な内容になると理解が落ちる状態です。理解度の目安は75〜90%程度で、繰り返しやゆっくりした説明が頻繁に必要です。

3点(中等度介助) になると、簡単な挨拶・自分の名前・ごく短い文は理解できますが、指示の半数以上は理解できない状態です。ゆっくり・繰り返し・視覚的補助を使っても理解は不安定で、理解度の目安は50〜74%です。

2点(最大介助) は、名前を呼ばれたことには気づく、「はい/いいえ」程度の基本的な応答はできるレベルです。単語の指示さえ理解が難しく、理解度は25〜49%程度。重度失語症や中〜重度認知症で見られます。

1点(全介助) は、音声や文字に対してほぼ反応を示さない状態です。名前を呼んでも反応せず、指示に従えません。重度意識障害や重度認知症などで見られます。


「表出」の採点:発話できるかではなく、どれだけ伝わるか

採点の基準は「音声・非音声の良い方」

表出も同じ考え方です。音声言語(話す)と非音声言語(AAC・筆談・ジェスチャーなど)のうち、明瞭度が高い方を採点基準にします。

発話がほとんどできない患者さんでも、文字板を自分で操作して意思を明確に伝えられるなら、表出は高く採点します。「話せないから表出は低い」ではなく、「どの手段でどれだけ相手に伝わるか」が採点の軸です。

7段階の目安

7点(完全自立) は、複雑な感情・情報・要求を、補助具なしで完全に相手に伝えられる状態です。

6点(修正自立) は、AAC・文字板・筆談・ジェスチャーを自己管理して使用し、十分な表出を達成できている状態です。聞き手による特別な解釈や補完が不要なら6点です。

5点(監視・準備) は、日常的な要求・状況報告は概ね伝わりますが、複雑な内容では聞き手が意図を確認・補完する場面がある状態です。理解と同じく、その確認・補完が全体の25%以内に収まっているかどうかが5点か4点かの分かれ目です。

4点(最小介助) は、基本的なニーズ(痛い、水が飲みたい、トイレに行きたいなど)は伝わりますが、複雑な感情表現や文章での説明は難しい状態です。明瞭度は75〜90%程度。

3点(中等度介助) は、「はい/いいえ」や単語(「水」「痛い」など)は伝えられますが、文としての表出が困難な状態です。聞き手が内容を大きく補完する必要があります。重度失語症・構音障害などでよく見られます。

2点(最大介助) は、声を出す・表情で示す・視線を向けるなど、ごく基本的な表出はあるものの、特定の内容を意図的に伝えることがほとんどできない状態です。明瞭度は25〜49%程度。

1点(全介助) は、自発的な発声・表情変化・ジェスチャーがほぼなく、何かを伝えようとする意図自体が確認できない状態です。


現場でよく迷う場面と判断のコツ

6点と5点の境界線はどこ?

ここが一番迷うポイントです。整理すると次のように考えられます。

6点は、補助具や特殊手段を「自己管理」して使えていて、かつ介助者の特別な配慮なしに達成できている状態です。補聴器を自分でつけて管理し、それで十分に会話が成立しているなら6点です。

5点は、補助具がなくてもある程度はできるけれど、聞き手が少し工夫・確認をする必要がある状態です。言い換えると、介助者の配慮・工夫が必要かどうかが6点と5点を分ける基準になります。

補助具を使っていても、聞き手が頻繁に確認したり解釈を補ったりしているなら、それは5点以下を検討すべきです。

「発話しない=理解できない」という誤解

先述の通りですが、これは現場でかなりよく起きる判断ミスです。特に急性期や回復期の初期評価では、患者さんが口を開かないことを「理解が悪い」と判断してしまいがちです。

口を開く前に、まず指示理解の確認を丁寧に行うことが大切です。「右手を握ってください」「目を閉じてください」のような簡単な運動指示への応答、または「はい/いいえ」で答えられる質問への頷き・首振りなどで、理解度は十分確認できます。


まとめ

FIM「理解・表出」の採点をまとめると、次の3点が核心です。

1つ目は、理解と表出は必ず独立して評価すること。どちらかが低くても、もう一方が高いことはよくあります。

2つ目は、「良い方の手段」で採点すること。理解は音声・文字の良い方、表出は音声・非音声の良い方を基準にします。

3つ目は、**6点と5点の境界は「介助者の配慮が必要かどうか」**で判断すること。補助具を使っているかどうかではなく、介助者の特別な工夫なしに達成できているかが鍵です。

上の採点ガイド図と合わせて使ってもらえると、日々のFIM評価がより正確になると思います。採点に迷ったときはぜひ参考にしてみてください。


本記事はFIMの採点方法についての解説を目的としており、UDSMRの公式トレーニングや資格取得の代替となるものではありません。正式なFIM採点については認定トレーナーによる研修を受講されることをお勧めします。

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