学習性不使用とは?麻痺した手、使えない?それとも使わない?

学習性不使用とは?

学習性不使用は、麻痺手の患者が手を使わなくなる現象を指します。

これは、患者が麻痺した手を回避し、代わりに健常な手を主に使用することから生じます。

多くは脳梗塞や脳出血、脊髄損傷などが原因で手足が動かしにくなることで発生します。

こういった負の行動変容により、非麻痺手の使用頻度が激減した結果、損傷大脳皮質における麻痺手に関わる領域の縮小(負の可塑性)が生じます。

学習性不使用が発生すると、患者は麻痺手を使用する学習を怠り、その結果、手の機能が低下してしまいます。

中枢神経麻痺に対するリハビリにおいて、まずこの学習性不使用を予防することは非常に重要になってきます。

学習性不使用の原因

それでは、なぜこのような現象が起きるのでしょうか。

主な原因には、疼痛や不快感、運動の困難さが挙げられます。

例えば、麻痺手(利き手)で携帯を操作しようとし、携帯と落として携帯の画面が割れてしまったとします。

健常な手で操作すると落とすこともないし、画面を割ることもありません。

このような学習(経験)をすることで、それ以降は健常な手で物を扱うようになります。

これらの要因が患者の手の使用を妨げ、代わりに健常な手を選択することで、学習性不使用が進行します。

また、精神的な要因や社会的な環境も影響を与え、学習性不使用を促進する可能性があります。

学習性不使用

(参照:道免和久、竹林崇:行動変容を導く!上肢機能回復アプローチ-脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略)

学習性不使用を予防するには

学習性不使用を予防するためには、早期から積極的なリハビリテーションが重要です。

本人はとにかく、「生活の中で出来るだけ麻痺手を使う」ということを意識することが大切です。

ご飯を食べるときは麻痺手をテーブルの上に置く、手すりやベッドの柵を麻痺手で掴んでみる、リモコンを麻痺手で操作してみるなど、、、

ここで大切なことは、リハビリや生活動作の中で「多くの失敗を経験する」ということを許容することです。

いざ「よし!いっぱい麻痺手を使おう!」と決意しても、失敗するとやはりモチベーションは下がってしまうものです。

「失敗してもOK!なんで出来なかったかセラピストと考えてリハビリしよう!」ぐらいの心意気で取り組んでもらえればと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

学習性不使用について、少しでも理解していただけたでしょうか。

「出来ないこと」を「出来るようにする」という過程では、多くの失敗を経験し、心身共に疲れてしまいますよね。

リハビリに奮起している方の力に少しでもなれれば幸いです。

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