FIMの「更衣(上半身・下半身)」の評価・採点方法【4動作・割合評価を完全整理】
FIM(Functional Independence Measure)の
「更衣」は、
衣類の着脱動作をどこまで自分で行えているかを、
動作の割合と介助量で評価する項目です。
更衣は
- 上半身
- 下半身
を別々に評価する点が重要です。
Contents
FIMにおける「更衣」の評価範囲
■ 更衣で評価するもの
- 衣類を「着る」「脱ぐ」
- 身体に正しく整える
👉 着脱の“実行部分”が評価対象
■ 評価に含まれないもの(重要)
FIMの「更衣」では、以下の行為は更衣動作そのものの割合評価には含まれません。
- タンス・クローゼットから衣類を出す
- 衣類を選ぶ・並べる
- 片付ける
※これらは準備行為として扱われます。
ただし、
これらの準備に他者の手が必要な場合は、人的関与があると判断され、点数に影響します。
【更衣(上半身)の評価方法】
上半身更衣は、以下4つの動作を基準に評価します。
- 衣服をかぶる
- 片袖を通す
- もう一方の袖を通す
- 衣服を引きおろして整える

👉 4動作のうち、どれだけ自分でできるかで割合を判断します。
【更衣(下半身)の評価方法】
下半身では、衣類の種類が変わります。
- ズボン
- 下着
- 靴下(ストッキング含む)
🔴 注意
- 靴は評価対象外
- 入浴前後の更衣は「特殊状況」として原則評価対象外
【装具・留め具の扱い(重要)】
■ 評価対象になるもの
- ジッパー
- ボタン
- ブラジャーの金具
- 弾性ストッキング
👉 衣服の一部として扱う
■ 装具を介助しても点数はどうなる?
装具は主な更衣動作ではないため、
- 装具のみ介助
👉 5点(監視・準備)までしか下がらない
【準備行為と点数の関係】
🔵 準備そのものは評価対象外
- 衣類を出してもらう
- 並べてもらう
👉 それ自体で減点はしない
🔴 ただし、人の手が必要なら…
- 衣類を出してもらわないと着替えられない
- 着る順番の声かけが必要
👉 5点(監視・準備)
【FIM 更衣の採点基準(7点〜1点)】
◎7点(完全自立)
- 4動作すべて自立
- ボタン・ジッパーも自力
- 安全・時間とも問題なし
◎6点(修正自立)
- 通常の3倍以上の時間がかかる
- 補助具を使用している
- マジックハンド
- ソックスエイド
- ボタンエイド
👉 人的介助なし
◎5点(監視・準備)
以下のような場合は、
更衣動作自体は自立していても 5点(監視・準備) と評価します。
- 声かけ・見守りが必要
- 背中やお尻の衣類が正しく着られているか確認が必要
- 衣類を出してもらえば、自分で着替えができる
👉 身体的な介助は行っていないが、
更衣を完遂するために準備・監視が必要な状態に該当します。
🔍 ポイント整理
- 「衣類を出す」行為は 更衣の動作評価には含まれない
- しかし
- 出してもらわないと着替えが始められない
- 声かけがないと更衣が完結しない
場合は 人的関与あり=5点
◎4点(最小介助)
- 更衣の 75%以上 を自分で行う
- 4動作のうち 3/4以上 自立
- 最後の調整のみ介助
◎3点(中等度介助)
- 更衣の 50〜75%未満 を自分で行う
- 4動作のうち 2/4 自立
◎2点(最大介助)
- 更衣の 25〜50%未満 を自分で行う
- 4動作のうち 1/4 自立
◎1点(全介助)
- 更衣のほぼすべてに介助が必要
【具体的な評価例】
例1:袖通しは自立、引きおろしだけ介助
👉 4点(最小介助)
例2:衣類は出してもらうが、着脱は自立
👉 5点(監視・準備)
例3:ボタンだけ介助
👉 5点(装具介助)
【よくある誤解】
❌ 準備を手伝っている=4点
⭕ 5点
❌ 靴が履けない=減点
⭕ 評価対象外
❌ 装具を介助=4点
⭕ 5点まで
【まとめ】更衣評価の要点
- ✔ 上下別評価
- ✔ 上半身は「4動作」で割合判断
- ✔ 準備は評価外だが、介助があれば5点
- ✔ 装具介助は5点止まり
- ✔ 身体に触れたら4点以下
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