腰を守る!介護時の移乗介助で腰に負担をかけない方法

介護の現場で多い身体のトラブルといえば、「腰痛」です。
特にベッドから車椅子への移乗やトイレ介助など、力仕事が多い場面で腰を痛める方が少なくありません。
本記事では、腰に負担をかけずに移乗介助を行うためのコツを、専門的な視点からわかりやすく解説します。
なぜ腰を痛めやすいのか?
腰に負担がかかる主な原因は以下の3つです
1. 中腰姿勢での作業
2. 急な動きや無理な引き上げ
3. 体の軸がブレた状態での力仕事
つまり、「体の使い方」を変えることで、腰痛の予防が可能になります。
【基本】腰に負担をかけないための3つの考え方
① 自分の重心と相手の重心を近づける

• 移乗介助では、自分と相手の重心(体の中心)をなるべく近づけることが大切です。
• 介助者の重心が遠いと、テコの原理で腰に大きな負担がかかります。
• ベッドの端や車椅子の近くまでしっかり近づき、体を相手に向けて正対する姿勢を意識しましょう。
💡 ポイント:重心が近づくことで、力が伝わりやすくなり、相手の体の動きを“誘導”しやすくなります。
力任せにならず、効率的に動かせます。
② 腹圧を高めて「体幹をロック」する

• 筋トレする人が腰ベルト(リフティングベルト)を巻くのは、腹圧を高めて体幹を固定するためです。
• 介助時にもこれを応用して、お腹に力を入れ、腰を固めると安全です。
• 腰ではなく、「腹」「脚」「体幹」を使って動かす意識を持ちましょう。
③ 相手の重心移動を利用する(自分で動ける人には“きっかけ”を)
• 全介助ではなく、利用者の力を最大限引き出すことが、介助者の負担軽減にもつながります。
• 「立ち上がりのきっかけ声かけ」「体を前傾させる」など、重心移動を促す介助が効果的です。
【実践】移乗介助のコツ(ベッド→車椅子の場合)

1. 足元をしっかり広げる(前後にずらす)
2. 自分の腰を落とす(中腰ではなく膝を曲げて)
3.自分の重心と相手の体の中心を近づける(腕を伸ばしたままではなく、ひじを軽く曲げて接近)
4. 相手に前傾姿勢を促す(「前にかがんでくださいね」)
5. お腹に力を入れて動く
6. 相手の腰のあたりを支えるようにして、回転軸を意識して移動
💡 ポイント:持ち上げるのではなく、「動きをガイドする」「回す」感覚で行うと、力を使わずにスムーズな移乗が可能です。
【便利グッズ紹介】腰の負担を減らすアイテム

1. スライディングシート/ボード
• ベッド⇄車椅子間を滑らせるように移乗でき、腰への負担が激減。
• 腕力に自信がない介助者におすすめ。
2. 立ち上がり補助ベルト(移乗ベルト)
• 利用者の腰に巻いて持ち手を使って安全に移乗をサポート。
• 手をつかむより安定して動かせます。
3. 介助リフト(電動・手動)
• 要介護度が高い方の移乗には、リフトを使うと最も腰に優しい方法です。
• 福祉用具貸与制度での利用も可能(※保険内)
【補足】介助者自身の体を守るために
• 日頃からスクワットや体幹トレーニングで、腰や太ももの筋力をつけておくと、介助が格段に楽になります。
• 腰痛予防ベルト(骨盤ベルト)も一時的な補助に効果的。
• 無理な介助は絶対にしないこと。「一人でできない」と思ったら、道具や他者の力を借りましょう。
最後に
介助の質を上げることは、相手の尊厳を守ることにもつながります。
そして何よりも、自分自身の身体を守るために「正しい介助方法」は必須スキルです。
自宅や施設での介護が少しでも楽になり、長く健康に続けられるよう、ぜひ今日から取り入れてみてください。
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