ジャパン・コーマ・スケール(JCS)とは?|評価方法・判定基準・GCSとの違いをわかりやすく解説
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はじめに|JCSは日本の臨床現場で最も使われている意識障害スケール
ジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale:JCS)は、日本の医療現場で広く使用されている意識障害の評価スケールです。
救急医療、急性期病院、回復期リハビリテーション病棟、さらには訪問看護・在宅医療まで、幅広い領域で活用されています。
特に日本では、カルテ記載・救急搬送時の情報共有・診療報酬関連書類などにおいてJCS表記が標準となっており、医療職にとって必須の知識といえます。
本記事では以下を中心に解説します。
- JCSの基本構造と判定基準
- 各レベルの具体的な臨床イメージ
- GCS(Glasgow Coma Scale)との違い
- リハビリ現場・在宅医療での活用ポイント
- よくある誤解・注意点
JCSの基本構造|「覚醒度」で評価する3段階×10区分
JCSは**「刺激に対する反応」ではなく「覚醒の程度」**を軸に評価するスケールです。
構造は非常にシンプルで、3つの大分類(I・II・III)と10段階から成り立っています。

JCSの全体構造
| 大分類 | 点数 | 意識レベルの概要 |
|---|---|---|
| I桁 | 1・2・3 | 刺激なしで覚醒している |
| II桁 | 10・20・30 | 刺激で覚醒する |
| III桁 | 100・200・300 | 刺激でも覚醒しない |
数字が大きくなるほど、意識障害は重度になります。
I桁(1・2・3)|覚醒しているが意識は完全ではない状態
JCS 1:清明とは言えないが、ほぼ正常
- 覚醒しており会話は成立
- しかし「なんとなくぼんやり」「反応が鈍い」
- 軽度の注意障害・疲労・せん妄初期などでみられる
👉 **「見た目は普通だが、どこかおかしい」**というレベル
JCS 2:見当識障害あり
- 時間・場所・人があいまい
- 呼びかけにはすぐ反応
- 軽度〜中等度の脳機能障害、急性期脳卒中初期など
👉 リハビリ評価では要注意レベル
JCS 3:自分の名前・生年月日が言えない
- 覚醒はしている
- しかし自己の認識が不十分
- 注意障害・高次脳機能障害を伴うことが多い
👉 「覚醒=正常」ではない点が重要
II桁(10・20・30)|刺激がないと眠っている状態
JCS 10:普通の呼びかけで覚醒
- 声かけで目を開ける
- 反応はあるが持続しにくい
- 傾眠状態(somnolence)
JCS 20:大声や揺さぶりで覚醒
- 強めの刺激が必要
- 覚醒してもすぐ眠る
- リハビリ介入時は安全管理が必須
JCS 30:痛み刺激で覚醒
- 痛み刺激で一時的に反応
- 覚醒レベルは低い
- 急性期・重度脳障害で多い
III桁(100・200・300)|刺激に反応しない重度意識障害
JCS 100:痛み刺激でわずかに反応
- 顔をしかめる、手足を動かす
- 目的的動作はなし
JCS 200:痛み刺激でもほぼ反応なし
- わずかな原始反射程度
- 深昏睡に近い状態
JCS 300:全く反応なし
- 刺激に完全無反応
- 生命予後・重篤度評価に直結
GCSとの違い|なぜ日本ではJCSが使われるのか?
| 項目 | JCS | GCS |
|---|---|---|
| 主な使用国 | 日本 | 世界標準 |
| 評価軸 | 覚醒度 | 反応の質 |
| 項目数 | 単一 | 開眼・言語・運動 |
| 簡便性 | ◎ | △ |
| 詳細評価 | △ | ◎ |
JCSは「瞬時の重症度把握」、
**GCSは「詳細な神経学的評価」**に向いています。
👉 日本の救急・看護・リハではJCS+必要に応じてGCSが一般的です。
リハビリ・在宅医療でのJCS活用ポイント
リハビリ開始判断
- JCS I桁:積極的介入可能
- JCS II桁:覚醒レベルに応じて調整
- JCS III桁:Dr、Nsに確認・相談
在宅・訪問リハでの重要性
- 家族への状態説明がしやすい
- 医師・看護師との共通言語になる
- 状態変化の早期発見に有効
よくある誤解と注意点
❌ 「目が開いている=JCS I桁」ではない
→ 見当識・理解力を必ず確認
❌ 刺激方法が曖昧
→ 痛み刺激は統一(爪床圧迫など)
❌ JCSだけで判断しない
→ 高次脳機能・行動観察と併用が重要
まとめ|JCSは「意識レベルの共通言語」
- JCSは日本独自だが非常に実用的
- 覚醒度を瞬時に共有できる
- リハビリ・在宅医療でも必須スキル
- GCSと使い分けることで評価精度が向上






