【保存版】FBS(Berg Balance Scale)のカットオフ値と関連因子|転倒リスクをどう読み解く?
高齢者のバランス評価において広く使われる「FBS(Berg Balance Scale)」は、転倒リスクの予測や歩行自立の評価に欠かせないツールです。
本記事では、FBSのカットオフ値や、下肢筋力・荷重比・恐怖心などとの関連について、最新の文献をもとに詳しく解説します。
FBS(Berg Balance Scale)とは?
FBS(Functional Balance Scale)は、14の動作項目を0~4点で評価するバランス機能テストです。
日常動作に即した内容が特徴で、合計点(最大56点)でバランス能力を定量的に把握できます。
• 対象:高齢者、脳卒中、整形疾患などのリハビリ対象者
• 評価内容:椅子からの立ち上がり・リーチ・方向転換・片脚立位など
FBSのカットオフ値は「45点」がひとつの目安
✅ 45点未満は転倒リスクが高い
医療文献(StatPearls)では、「45点以下」が転倒リスクの高い指標であるとされています。
スコア帯 | 歩行レベルの目安 |
0~20点 | 車椅子移動 |
21~40点 | 介助歩行 |
41~56点 | 自立歩行可能 |
参考文献:StatPearls - Berg Balance Scale
✅ 感度・特異度から見た精度
Nature誌の研究によると、FBSが45点未満である場合、
• 感度:91%(転倒しそうな人を逃さない)
• 特異度:82%(誤判定も少ない)
と高い精度が報告されています。
🔍 精度の高さからも、現場で信頼して使える指標といえます。
状況に応じて「46.5〜50.5点」も注意が必要
文献レビュー(PMC)によれば、在宅高齢者では**「46.5〜50.5点」でも転倒リスクが上がる**可能性があります。
• AUC(予測力):0.72〜0.81と高評価
• 1点スコアが下がるごとに、転倒リスクが6〜8%上昇
🔗 出典:PMC Review Article(2021年)
FBSと関係が深い身体機能・心理要因
💡 WBR(荷重比率)との相関
Cureus誌の研究では、**FBSとWBR(患側荷重率)に強い相関(r=0.824)**があることが報告されています。
➡︎ バランス能力が高い人ほど、左右の荷重が適切に分散しているという結果です。
参考文献:Cureus - Functional Outcomes & BBS
転倒への「恐怖心」との関連性
脊髄損傷患者を対象とした研究では、FBSスコアと**Fear of Falling(転倒への恐怖)**が有意に関連しているとされています。
• スコアが低い人ほど、転倒を恐れる傾向あり
• リハビリの心理的アプローチの重要性を示唆
現場での活用ポイント
活用場面 | 応用例 |
リハ評価 | 退院時の歩行レベル予測 |
家屋評価 | 転倒リスクの把握 |
自主トレ提案 | リーチ・ステップなど弱点を可視化 |
補助具選定 | FBSとWBRを併用することで根拠づけ可能 |
まとめ:FBSは「1点の変化」に敏感な評価ツール
• 45点未満は転倒リスク高
• 46~54点も安全圏ではない
• 荷重バランスや心理面と深く関係
• 経過観察にも向いており、補助具選定・目標設定に活用可能
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