FIMの「整容」の評価・採点方法について【臨床で迷わない完全解説】
FIM(Functional Independence Measure)は、
「しているADL」を客観的に数値化する指標として、回復期・生活期を中心に広く用いられています。
本記事では、FIM18項目のうち
セルフケアに分類される「整容(Grooming)」について、
- 評価範囲
- 採点の考え方
- 7点〜1点の具体的判断基準
- よくある迷いどころ・減点ポイント
を解説します。
Contents
FIMにおける「整容」とは
■ 整容の定義
洗面台で行う身だしなみ動作全般を指します。
👉 入浴や更衣は含まれず、
👉 立位/座位は問わず、「実行できているか」が評価対象です。
【整容の評価範囲】必ず含まれる5つの動作
FIMの整容では、以下 5項目すべて を評価対象とします。
- 洗顔
- 歯磨き
- 整髪(髪をとかす・整える)
- ひげ剃り(男性)/化粧(女性)
- 手洗い

🔴 重要ポイント
- 5項目すべてが評価対象
- 1つでも介助が必要なら減点対象
- 「今日はやっていない」は原則NG(※後述)
【整容の採点ポイント】
① 評価は「準備された環境」で行う
- 洗面台が使える
- 必要な物品(歯ブラシ・櫛など)が揃っている
👉 物品準備は原則評価対象外
(※準備が必要=5点以下になるケースあり)
② 時間がかかっても「自立していれば減点しない」
- 動作が遅い
- 高齢者ペース
👉 安全・自立であれば7点対象
③ 「しているADL」で評価する
- 実際の病棟・施設生活での様子を評価
- 「できるADL」ではない
【整容の採点基準】7点〜1点を完全整理
◎7点(完全自立)
定義
- 5項目すべてを
- 介助・見守り・準備なしで
- 安全に自分で実施できる
具体例
- 洗面台まで行き
- 歯磨き・洗顔・整髪・ひげ剃り(化粧)・手洗いを一連で実施
- 転倒・誤使用リスクなし
👉 自助具なし/ありでも可(自立ならOK)
◎6点(修正自立)
定義
- 5項目すべて自立
- ただし 補助具や環境調整を使用
具体例
- 電動歯ブラシを使用
- 片手用歯磨き補助具
- 椅子に座って洗面

👉 人的介助がなければ6点
◎5点(監視・準備)
定義
- 動作自体は自立
- 準備・見守り・声かけが必要
具体例
- 歯ブラシに歯磨き粉をつけてもらう
- 「次は顔洗いですよ」と声かけが必要
- 誤嚥・転倒防止のため見守り必須

🔴 重要
- 「手は出していない」でも
- 準備・声かけ=5点
◎4点(最小介助)
定義
- 75%以上は本人が実施
- 一部のみ軽介助
具体例
- 口腔内の最終仕上げのみ介助
- ひげ剃りの細部だけ手伝う
- 麻痺側の整髪のみ介助

◎3点(中等度介助)
定義
- 本人の実施割合:50〜74%
具体例
- 洗顔・歯磨きはできるが
- 整髪・ひげ剃りは半分以上介助
◎2点(最大介助)
定義
- 本人の実施割合:25〜49%
具体例
- 口を開ける・手を動かす程度
- 実際の整容動作はほぼ介助者
◎1点(全介助)
定義
- 本人の実施割合:25%未満
具体例
- 意識障害
- 重度認知症
- 全工程を介助者が実施
【よくある迷いどころ】臨床あるあるQ&A
Q1. 今日はひげ剃り(化粧)していません
👉 原則「評価対象」
- 実生活で定期的に必要な動作
- 実施できるかどうかで判断
Q2. 洗面台までの移動ができない
👉 整容ではなく移動項目で評価
- 整容は「動作そのもの」
- 移動介助=整容減点には直結しない
Q3. 歯磨き粉を出すのができない
👉 5点以下
- 準備介助が必要なため
【まとめ】整容評価で一番大切な視点
- ✔ 評価は 5項目すべて
- ✔ 「準備・声かけ」は立派な介助
- ✔ 自助具OK、人の手NG
- ✔ 迷ったら「しているADL」で判断
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