リハ中に起きた衝撃インシデント|患者さんが急に走り幅跳びした話

臨床をしていると、今でも鮮明に思い出す出来事があります。

新人の頃。
交通外傷による脳出血後の患者さんを担当していました。

身体機能はほぼ問題なし。

歩ける。
立てる。
筋力もある。

一見すると、「かなり回復している人」に見えます。

でも問題はそこじゃなかった。

重度の注意障害と記憶障害。

いわゆる、“動ける高次脳機能障害” の方でした。

このタイプは本当に難しい。

身体が動くぶん、行動が止められない。

しかも本人に悪気はない。

予測不能なことが起こる。

その日も、病室からリハビリ室へ誘導していました。

特に変わった様子はない。

いつも通り横について歩いている。

…その瞬間でした。

急に患者さんが走り出したんです。

「えっ?」

と思った次の瞬間。

そのまま助走をつけて――

走り幅跳びみたいに飛んだ。

本当に飛んだ。

比喩じゃなく、ガチで。

空中に浮いた瞬間、なぜかそこだけスロー再生みたいに見えたのを覚えています。

「あ、これ落ちる。」

そう思った次の瞬間、

ドスン。

見事に尻もち。

当然インシデント。

当然上司から説教。

「何やってたんだ」と。

いや、本当にそうなんです。

でもこっちも思った。

“飛ぶとは思わんて。”

後から本人に聞きました。

「なんで急に飛んだんですか?」

すると本人は真顔でこう言いました。

「床のテープが、走り幅跳びの線に見えた。」

……なるほど。

さらに続けて、

「飛びたいって思ったら止められなかった。」

これが高次脳機能障害の怖さなんだと、その時痛感しました。

注意障害抑制障害衝動性

身体能力が高いほど、その危険性は上がる。

転倒リスクって、筋力低下だけじゃない。

認知・判断・抑制の障害が絡むと、一瞬で事故になる。

この経験以来、僕は強く思っています。

「歩ける=安全」ではない。

むしろ、

“動けるのに止まれない”

これが一番怖いこともある。

今では少し笑って話せるエピソードですが、当時はかなり冷や汗をかきました。

そして今でも思い出します。

あの、

飛ぶ瞬間だけスローになる現象。

たぶん臨床やってる人なら、一度は経験あるんじゃないでしょうか。

「あ、やばい。」

って時だけ、時間が伸びるやつ。

あれ、不思議ですよね。

でもあの時学んだことは、今でもずっと残っています。

リハ中は、絶対に気を抜いちゃいけない。

あらゆるリスクを想定する。
それが臨床だと思います。

皆さんは記憶に残ってるインシデントはありますか?

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