ブルンストロームステージ(手指)とは?脳卒中後の回復段階と評価方法をOTが解説

脳卒中後の手の麻痺を評価するときによく使われる指標の一つに、ブルンストロームステージ(Brunnstrom Stage)があります。

特に手指の回復は、食事・更衣・トイレ動作・家事・書字など、日常生活のあらゆる場面に大きく関わります。「今どのくらい回復しているのか」「次に何ができるようになるのか」を把握するうえで、非常に重要な指標です。

この記事では、作業療法士の視点から、ブルンストロームステージのうち手指機能の評価について、わかりやすく解説します。

ブルンストロームステージとは?

ブルンストロームステージとは、脳卒中後の麻痺の回復過程を6段階で評価する方法です。特徴は、回復がある程度決まった順番で進みやすいという点にあります。

大まかな流れは、弛緩 → 共同運動 → 分離運動 → 巧緻運動です。この流れを理解しておくと、リハビリの方向性が見えやすくなります。

臨床ポイント

ステージはあくまで運動の「回復パターン」を示す指標です。感覚障害や高次脳機能障害の有無によって、同じステージでも実際の生活動作の自立度は大きく異なります。評価はステージ単体ではなく、他の要素と組み合わせて総合的に行うことが大切です。

手指のブルンストロームステージ一覧

手指のブルンストロームステージ一覧
ステージ状態の目安できることの例
Stage I弛緩性麻痺動かない
Stage IIわずかな随意運動が出現共同運動の一部として少し動く
Stage III屈曲共同運動が強くなる握れるが開けない
Stage IV分離運動が出始める横つまみ・少しだけ開く
Stage V複雑な手の動きが可能対向つまみ・随意的な指伸展
Stage VIほぼ正常に近い全種類の握り・分離運動が可能

Stage I:弛緩性麻痺

特徴

この段階では、筋肉にほとんど力が入らず、手指を動かすことができません。握れない、開けない、反応が少ないなど、完全に脱力している状態です。

臨床でみるポイント

浮腫の有無、関節拘縮予防、感覚入力への反応を確認します。この時期は、動かすことよりも準備段階としてのケアが重要になります。

Stage II:わずかな随意運動が出現

特徴

少しずつ手指屈曲が見られる段階です。ただし自由に動かせるわけではなく、共同運動の一部として出現します。例えば、肩を動かしたら指が曲がる、力むと握り込む、といった動きです。

臨床でみるポイント

その動きに随意性があるか、反射的なものか、再現性があるかを見極める必要があります。「動いた!」という事実だけで判断しないことが大切です。

Stage III:握りが可能になる

特徴

この段階では屈曲共同運動が強くなり、全指同時握りや鉤状握りが可能になります。ただし重要なのは、握れるけど開けないという点です。伸展はまだ反射優位の状態にあります。

注意

物を握ったら離せない、手が強く握り込んでしまうなど、日常生活で困りごとが起きやすい段階です。爪切りや清潔保持が難しくなるケースも多く、痙縮の管理が重要になります。

Stage IV:分離運動が出始める

特徴

共同運動から少し離れて、部分的な分離運動が可能になります。具体的には、横つまみ、親指の軽い離開、少しだけ開くといった動きです。ここが回復の大きな壁になりやすいポイントです。

臨床でみるポイント

この段階から実用手への移行が始まります。「どの指が、どれだけ独立して動いているか」を丁寧に評価することが重要です。

Stage V:実用的な手になる段階

特徴

より複雑な手の動きが可能になります。対向つまみ、筒握り、球握り、随意的な指伸展など、実用性がかなり高くなる段階です。

できることが増える

コップを持つ、ボタン操作、箸操作の練習、洗顔動作など、生活動作に直結しやすい段階です。

Stage VI:ほぼ正常に近い

特徴

最終段階です。全可動域で動かせる、全種類の握りが可能、指の分離運動が可能など、巧緻性も高くなります。ただし、完全に正常とは限らず、疲労や動作速度の低下が残ることもあります。

ブルンストローム評価で大切なこと

「握れる=回復した」ではない

実際に重要なのは「開けるかどうか」です。特にStage IIIとStage IVの差は大きく、握る力があっても、開いて離す動きができるかどうかで生活のしやすさは大きく変わります。

ステージだけでは生活能力は決まらない

同じStage Vであっても、感覚障害、失調、高次脳機能障害、注意障害などがあると、実用性は変わってきます。ステージの評価に加えて、総合的な評価が必要です。

臨床ポイント

ご自宅での訪問型の自費リハビリでは、病院の評価だけでは見えにくい「実際の生活場面での手の使い方」を確認できることが強みです。ステージの数字だけでなく、実生活での動作の様子まで含めて評価することを大切にしています。

まとめ

手指のブルンストロームステージは、麻痺の回復過程を理解するために非常に有用な指標です。

  • Stage I:動かない
  • Stage II:少し動く
  • Stage III:握れる
  • Stage IV:少し分けて動く
  • Stage V:実用的になる
  • Stage VI:ほぼ正常

脳卒中リハビリでは、「今どの段階にあるか」「次に何を目指すか」を整理することで、リハビリの質が大きく変わります。

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