【OT監修】手のリハビリに使える道具6選|自宅でできる上肢自主トレグッズを作業療法士が解説
「退院後も手のリハビリを続けたいけど、何を使えばいいの?」——訪問リハビリの現場でよく受ける相談です。
手のリハビリは「ただ動かすだけ」では不十分で、目的に合った道具を使った感覚・運動入力が回復を促します。本記事では現役作業療法士が自宅で使える道具6選を厳選。高価な医療専用品でなくても、市販品・100均代用品で十分な場合がほとんどです。
📋 目次
手のリハビリに道具を使う意味
手のリハビリには、筋力・可動域・感覚・巧緻性・協調性といった複数の要素があります。道具を使うことで、それぞれの要素に目的を絞った感覚・運動の入力が可能になります。
特に脳卒中後や骨折後のリハビリでは、麻痺側・患側の手に「どう動かすか」「どのくらいの力を入れるか」という情報(感覚フィードバック)を繰り返し入力することが回復の鍵です。
| 訓練要素 | 主な対象 | 対応する道具 |
|---|---|---|
| 知覚探索・感覚入力 | 脳卒中後の感覚障害、麻痺 | ペットボトル+ビー玉 |
| つまみ・巧緻性 | 指の細かい動作の回復 | ペグボード |
| 指の筋力・可動域 | 握力低下、関節拘縮 | セラパテ |
| 握る・離す | 手の開閉練習 | お手玉 |
| 肩〜手の協調運動 | 上肢全体のスムーズな動き | ミニボール |
| 力加減(過剰収縮の抑制) | 痙縮・筋緊張が残る方 | 正方形スポンジ |
この記事で紹介する商品は「目的を満たす一例」です。形・特性が同じであれば、100均品や家にあるものでも十分に効果が得られます。大切なのは毎日継続して反復練習できることです。
①ペットボトル+ビー玉(知覚探索訓練)
ペットボトル+水+ビー玉
水とビー玉を入れたペットボトルを動かし、中のビー玉の動きを感じ取る訓練です。知覚探索(感覚を使って物体を認識する能力)を鍛えながら、上肢の運動学習にもつながります。
知覚探索とは、手・指の感覚を使って対象物の形・重さ・動きを能動的に認識する能力です。脳卒中後の感覚障害がある方では特に重要な訓練です。ペットボトルのサイズを変えたり、ビー玉の数を増減させることで難易度を調整できます。
ビー玉はどこの文具店・100均でも入手可能ですが、品質の安定した商品をお求めの場合はこちらがおすすめです。
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②ペグボード(つまみ・巧緻性訓練)
木製ペグボード
ペグ(小さな棒)を穴に差し込んだり引き抜いたりすることで、指先のつまみ動作・巧緻性・視覚と手の協調性を訓練できます。ペグのサイズや穴のサイズを変えることで、難易度の段階的な調整が可能です。
ペグ操作は日常生活動作(ボタン留め・鍵操作・文房具使用など)に必要な精密つまみ動作の基礎訓練です。最初は大きなペグから始め、徐々に細いものへ移行するのが段階づけのセオリーです。
| 商品 | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|
EsiFare 木製ペグボード
|
¥1,999 | コストパフォーマンスが高く、自宅用・家族介護用に最適 |
| 酒井医療 ペグボードセット SOT-2100 | ¥89,980〜 | 医療施設向け。3サイズのペグ+傾斜スタンド付きで段階練習が充実 |
理想は酒井医療などの医療専用品ですが、自宅セルフ訓練・家族介護では市販の安価なペグボードで十分に代用できます。目的は「つまんで穴に入れる」動作の反復ですので、形が同じであれば代用品でOKです。
③セラパテ(指の筋力・可動域訓練)
CanDo セラパテ(Theraputty)全6色セット
セラパテは粘土状のシリコン素材で、指で押す・伸ばす・丸める・ちぎるなど多様な動作に対応できます。硬さが6段階あり、筋力や症状に合わせて選択できるのが特徴です。
| 色 | 硬さ | 対象 |
|---|---|---|
| 白(タン) | 超ソフト | 握力がほとんどない方・訓練初期 |
| 黄 | ソフト | 筋力低下が軽〜中等度の方 |
| 赤 | ミディアム | 一般的なリハビリ段階 |
| 緑 | ファーム | ある程度筋力が戻ってきた方 |
| 青 | ハード | 握力強化・スポーツ復帰段階 |
| 黒 | 超ハード | 高負荷訓練・スポーツ用 |
セラパテは「握る」だけでなく、指を開く・伸ばして引っ張る・親指で押しつぶすなど多彩な使い方ができます。1つの道具で多くの訓練目的をカバーできる、コストパフォーマンスの高い道具です。
全6色セットでなく、まずは1〜2色から始めるのもOKです。CanDo以外のブランドも同様の効果が得られますが、硬さの基準がブランドによって若干異なる場合があるため、色・硬さの表記を確認して選びましょう。
④お手玉(握る・離す訓練)
お手玉 おてだまリトミック 5個入り
適度な重さと柔らかさがあり、握る・離すという手の開閉動作の反復練習に最適です。日本の伝統的な遊び道具でもあり、高齢者にも馴染みやすい道具です。
手を「開く」動作は「閉じる(握る)」動作より難しく、特に脳卒中後の痙縮がある方では重点的な訓練が必要です。お手玉を机の上に置いてつかんで持ち上げる・置くという動作を繰り返すだけで十分な訓練になります。複数個使って移し替えると、さらに難易度が上がります。
100均でも購入可能です。手縫いのものや、大きさ・重さの異なるものでも代用できます。「適度な大きさで握れるやわらかいもの」であればOKです。
⑤ミニボール(協調運動訓練)
GronG ピラティス ミニボール
やわらかいミニボール(直径15〜20cm程度)を机や膝の上に置き、手を乗せてゆっくり動かすことで、肩・肘・手首の協調運動を促します。ボールの丸みが手を乗せやすくし、転がすことでスムーズな上肢全体の動きを引き出します。
協調運動とは、複数の関節が連携してスムーズに動く能力です。脳卒中後の麻痺では各関節がバラバラに動いてしまうことがあり、ボールを介した全体的な動きの訓練が有効です。机の上でボールを前後左右に転がす・円を描くように動かすなど、さまざまなパターンで練習しましょう。
ピラティス用ミニボール・バランスボール(小)など、同程度の大きさのやわらかいボールであれば代用できます。硬すぎるボールは転がしにくいため、空気入れ調整ができるタイプが使いやすいです。
⑥正方形スポンジ(力加減訓練)
CIMAXIC 正方形スポンジ 50個入り
正方形のスポンジをつまむ訓練は、力を入れすぎず・弱すぎず、適切な力加減でつまむ能力を高めます。スポンジの柔らかさがフィードバックになるため、過剰な筋緊張(痙縮)がある方の力加減コントロールにも有効です。
脳卒中後の痙縮がある方は「力を入れること」は比較的できても「力を抜いて適切な強さでつまむ」ことが難しいケースがあります。スポンジを潰しすぎずに持ち上げる・移し替えるという訓練は、「力の調整(グレーディング)」訓練として有効です。
化粧用スポンジ・台所用スポンジなど、100均で入手できるものでも十分代用できます。まずは手持ちのスポンジで試してみることをおすすめします。
まとめ比較表
| 道具 | 主な訓練目的 | 難易度調整 | 代用品の目安 | 価格目安 |
|---|---|---|---|---|
| ペットボトル+ビー玉 | 知覚探索・運動学習 | ボトルサイズ・ビー玉数 | 家にあるもので可 | ¥370〜 |
| ペグボード | つまみ・巧緻性 | ペグの細さを変える | 同等の安価品でOK | ¥1,999〜 |
| セラパテ | 指の筋力・可動域 | 色(硬さ)を変える | 他ブランドも可 | ¥5,980〜 |
| お手玉 | 握る・離す | 個数・移し替え距離 | 100均品でOK | ¥1,780〜 |
| ミニボール | 肩〜手の協調運動 | 動作パターンを変える | 同サイズのやわらかいボール | ¥680〜 |
| 正方形スポンジ | 力加減・グレーディング | スポンジの硬さを変える | 100均スポンジでOK | ¥649〜 |
これらの道具は「目的に合った形・特性のもの」であれば代用品でも十分に効果が得られます。リハビリで大切なのは道具の正確な一致よりも、毎日継続して反復練習できることです。まずは身近にあるもので試してみて、継続できそうであれば本格的な道具への移行を検討してみてください。
「手のリハビリを自宅でどう続ければいいかわからない」という方には、作業療法士による在宅リハビリ訪問をご利用ください。道具の選定・使い方指導から訓練プログラムの作成まで、自宅で対応します。
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