【転倒予防】かかとなしスリッパは危険?作業療法士が教える安全な室内履き
かかとのないスリッパは、脱ぎ履きしやすい反面、転倒リスクを高める可能性があります。特に高齢者や脳卒中後の方、足元の感覚が低下している方では、スリッパのズレや脱げがそのまま転倒につながることも少なくありません。実際に病院や介護施設では「かかとのある履物」を推奨することが多くあります。
この記事では作業療法士(OT)の視点から、かかとなしスリッパが危険とされる理由と、安全な室内履きの選び方をわかりやすく解説します。
なぜ「かかとなし」スリッパは転倒リスクを高めるのか
かかとのないスリッパは、足を入れるだけで着脱できる手軽さがある一方、歩行時の安定性という点では不利な要素をいくつか持っています。
脱げやすさ・つまずきの原因になりやすい
かかとを固定する部分がないため、歩行中にスリッパが足からずれやすく、つま先だけで引っかけるような歩き方になりがちです。この状態は、歩幅がわずかにずれただけでスリッパが脱げたり、足先が引っかかったりする一因になり得ると考えられています。特に足関節の可動域が低下している方や、下肢の感覚が鈍くなっている方では、スリッパのズレに気づきにくく、対応が遅れる場合があります。
歩行パターンと重心バランスへの影響
かかとが固定されないと、足指で履物が脱げないように把持しながら歩く代償動作(すり足気味の歩行)が生じやすくなります。これにより歩幅が小さくなり、つまずきに対するとっさの立て直し(姿勢反応)がしにくくなる可能性があります。加齢や脳卒中後の片麻痺、バランス機能の低下がある方では、この影響がより大きく出やすいと考えられます。
病院・施設で推奨されない理由
実際、多くの医療機関やリハビリ施設では、入院患者やご利用者に対して「かかとのある履物」を案内しています。これは前述のような歩行安定性の問題に加え、以下のような施設運営上の理由も背景にあります。
- 床が滑りやすい環境(リノリウム床、水濡れの可能性がある場所)でのすべりやすさ
- ベッドからの立ち上がり時や車椅子への移乗時に、足元が不安定だと転倒リスクが上がる
- 点滴スタンドや歩行器を使用する場面で、足元のふらつきがそのまま重大な転倒事故につながりやすい
ご自宅でも、階段の上り下りや廊下の移動など、施設と同様に転倒リスクが潜む場面は多くあります。「病院で使われている履物の考え方」は、在宅環境でも十分に参考になるものです。
転倒予防につながる室内履きの条件
OTの視点から、室内履きを選ぶ際に確認しておきたい条件を整理しました。
| チェック項目 | 望ましい状態 | 理由 |
|---|---|---|
| かかとの有無 | かかとを覆う形状 | 足が履物から離れにくく、歩行が安定しやすい |
| 底面のすべり止め | グリップ力のある素材 | フローリングや濡れた床での滑走を抑える |
| 着脱のしやすさ | 面ファスナーなど簡単に開閉できる | かかとを覆いつつ、自力での着脱負担を減らせる |
| 重さ | 軽量 | 足を持ち上げる動作の負担を減らし、つまずきにくくする |
| サイズ・フィット感 | 足に合ったサイズ | 大きすぎる履物は脱げやすく、転倒リスクを高めやすい |
これらの条件を満たす履物の代表例が、施設や医療現場でも使われている「かかとつきスリッパ」です。
- 歩行時にふらつきがある
- すり足になりやすい
- 脳卒中後の片麻痺がある
- パーキンソン病で小刻み歩行がある
- 夜間トイレ移動が多い
- 転倒歴がある
かかとつきスリッパの一例
参考として、施設・院内用としても使われているかかとつきスリッパを一例として紹介します。あくまで一つの選択肢としてご覧ください。
Amazonで見る(一例)
あゆみ かかとつきスリッパ(徳武産業)
左右同形で施設・院内用としても使用されているタイプです。すべり止め付きの底面と、かかとを覆う形状で、着脱のしやすさと歩行時の安定性を両立させることを意図した設計になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格帯 | 1,300円台(税込) |
| かかと形状 | あり(左右同形) |
| 底面 | すべり止め付き |
| サイズ展開 | M(23.0cm〜24.5cm)ほか複数サイズ |
| お手入れ | 手洗い可 |
| 対象 | シニア・高齢者、施設・院内での使用を想定 |
上記は数ある選択肢の一例です。足のサイズや浮腫の有無、装具の使用状況などによって適した履物は異なりますので、迷う場合は担当のリハビリ職や訪問スタッフに相談することをおすすめします。
まとめ
かかとのないスリッパは手軽さがある一方で、歩行時のズレやすさ・つまずきやすさから、転倒リスクを高める要因になり得ると考えられています。病院や施設でかかとのある履物が推奨されている背景には、こうした歩行安定性への配慮があります。ご自宅でも、かかとを覆う形状・すべり止め・軽さ・フィット感を意識した室内履きを選ぶことが、転倒予防の第一歩になります。
足元の状態や歩き方に不安がある場合は、自己判断だけで対策を進めるのではなく、専門職に相談しながら環境を整えていくことをおすすめします。







