【脳卒中リハビリ】ブルンストロームステージ(上肢)とは?6段階の評価方法と回復の見方を解説

脳卒中後の片麻痺の回復過程を評価する方法として広く使われているのがブルンストロームステージ(Brunnstrom Stage)です。
これは、麻痺した手足がどの程度回復しているかを6段階で評価する方法で、リハビリの目標設定や介入内容の決定に役立てられます。
脳卒中後は、最初は全く動かない状態から、徐々に筋緊張が出てきて、共同運動が強くなり、少しずつ分離運動が可能になり、実用動作へ近づいていく、という流れをたどることが多いです。この記事では、上肢のブルンストロームステージについて、作業療法士の視点からわかりやすく解説します。
ブルンストロームステージは医療者が評価に用いる指標の一つです。ご自身やご家族の状態を正確に判断するには、主治医や担当療法士に確認することをおすすめします。
なぜブルンストロームステージが重要なのか?
① 今どこまで回復しているか分かる
例えば同じ「腕が動く」という状態でも、共同運動だけで動いているのか、分離して動かせるのかで意味が全く違います。ステージを把握することで、回復の質を正しく評価できます。
② 無理な訓練を避けられる
ステージⅢの方に、いきなり巧緻動作を求めても難しいのが実情です。その段階に合った課題設定を行うことが重要です。
③ 予後予測の参考になる
一般的には、発症早期から随意運動がみられる場合は回復が期待しやすいとされています。ただし、年齢、病巣、感覚障害、高次脳機能障害などの影響も大きく、ステージのみで予後を判断することはできません。あくまで参考の一つとして捉えることが大切です。
予後予測はあくまで傾向であり、絶対的なものではありません。回復のスピードには個人差が大きいため、ステージの推移を継続的に観察しながら、都度リハビリ内容を見直していくことが重要です。
上肢のブルンストロームステージ一覧
| ステージ | 状態の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ステージⅠ | 弛緩期 | 筋収縮がみられない |
| ステージⅡ | 共同運動出現 | 随意運動は困難だが連合反応がみられる |
| ステージⅢ | 共同運動期 | 共同運動パターンで随意的に動かせる |
| ステージⅣ | 分離運動初期 | 共同運動から一部離れた動きが可能 |
| ステージⅤ | 分離運動後期 | より複雑な分離運動が可能 |
| ステージⅥ | 正常に近い | 協調性・速度が改善 |
ステージⅠ(弛緩期)
特徴
完全弛緩の状態で、筋収縮がみられません。つまり、力が入らず、自分で動かせない状態です。
評価ポイント
随意的な筋収縮がみられず、弛緩性麻痺の状態にあります。他動運動は可能です。
OT視点
この時期は「動かす」ことよりも、ポジショニング、関節拘縮予防、肩関節保護が重要になります。
ステージⅡ(共同運動出現)
特徴
筋緊張が少しずつ出始めます。しかし自分で自由に動かすことはまだ難しく、健側の運動や努力性の動作に伴って、麻痺側に連合反応がみられることがあります。
評価ポイント
随意的な腕の上げ下ろしはまだ難しいものの、筋緊張がわずかにみられたり、健側の運動や努力性の動作に伴って麻痺側に連合反応がみられる段階です。
この時期は「動いた!」と感じやすいですが、まだ分離運動ではありません。連合反応による動きを随意運動と誤って捉えてしまう「誤学習」に注意が必要です。
ステージⅢ(共同運動期)
特徴
共同運動を使えば随意的に動かせるようになりますが、パターンから外れることはできません。例えば屈曲共同運動では、肩外転・肘屈曲・前腕回外がセットで生じます。
評価ポイント
共同運動パターンの範囲内であれば、随意的に上肢を動かせるようになります。ただし、肘を完全に伸ばした状態で腕を上げ下ろしするなど、共同運動パターンから外れた動きは困難です。
OT視点
最も痙縮が強くなりやすい時期です。ここで重要なのは、共同運動パターンを減らしていく介入です。
ステージⅣ(分離運動初期)
特徴
共同運動から一部離れた動きが可能になります。回復の大きな転換点となる段階です。
評価ポイント
共同運動パターンから離れた動きが一部可能になるかを確認します。例として、以下のような動作があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① | 手を腰の後ろに回せる |
| ② | 肘伸展位で肩90°挙上 |
| ③ | 肘屈曲位で前腕回内外 |
OT視点
ここからADLへの応用が増えてきます。
ステージⅤ(分離運動後期)
特徴
より複雑な分離運動が可能になります。
評価ポイント
共同運動パターンからさらに分離した、より複雑な上肢運動が可能になるかを確認します。例として、以下のような動作があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① | 肘伸展位で肩180°挙上 |
| ② | 肘伸展位で肩90°外転 |
| ③ | 肩90°屈曲位で回内外 |
OT視点
食事、更衣、整容への応用が進む段階です。
ステージⅥ(正常に近い)
特徴
協調性や速度も改善し、ほぼ正常に近い運動が可能になります。
評価ポイント
スピードテストにおいて、麻痺側が健側の1.5倍以内の速度であることが目安とされています。
OT視点
この段階では、実生活での実用性向上が中心の関わりになります。
ブルンストロームステージの注意点
重要なのは、ステージが高い=生活で使える、とは限らないということです。
例えば、感覚障害、失調、半側空間無視、高次脳機能障害、疼痛などがあると、運動機能が回復していても実用性は下がります。そのため、運動機能の評価に加えて、実生活での評価も併せて行う必要があります。
ご自宅での訪問型の自費リハビリでは、病院での評価だけでは見えにくい「実際の生活場面での腕の使い方」を確認できることが強みです。ステージの数字だけでなく、実生活での動作の様子まで含めて評価することを大切にしています。
まとめ
ブルンストロームステージは、「今どんな回復段階にいるか」を知るための基本評価です。
- Ⅰ 弛緩
- Ⅱ 連合反応
- Ⅲ 共同運動
- Ⅳ 分離開始
- Ⅴ 分離成熟
- Ⅵ 協調性改善
リハビリでは、「今できること」と「次に目指すこと」を明確にするために、非常に重要な評価になります。







